はじめに|逃げちゃダメ…って、本当にそう?
僕:
最近さ、夜が来るのが怖いんだよ。
寝る前、明日のこと考えるとお腹がキュッてなる。
「行きたくない」って思っても、毎朝スーツ着て、駅に向かってる。
…なんでだろうね。自分でもわからないんだ。
しおり:
うん…その気持ち、すごくわかるよ。
特に日本では、「逃げる」って言葉に、どうしてもネガティブなイメージがついて回るからね。
でも、本当にそれが正しいんだろうか?って、私もよく考えるの。
僕:
正直言うとさ、
「逃げられたら、どれだけ楽だろう」って思うとき、何度もあった。
でもそれを誰かに言うのは、すごく怖くて。
“負け”とか、“甘え”って思われそうで…。
しおり:
じゃあ、今日の本を紹介するね。
中島輝さんの『立ち止まっても休んでもいい 自分を取り戻すゆるい逃げ方』(SBクリエイティブ)。
これはね、「逃げる」ことを悪いことじゃなくて、“自分を守るための技術”だよって教えてくれる本なの。
僕:
“逃げ方”が、技術…?
なんか不思議な感じだけど、今の俺にはちょっと、その言葉が沁みるかも。
しおり:
一緒にゆるく読んでいこう。
この本はね、「逃げてもいい」って思えるだけで、心がふっと軽くなる――そんな魔法みたいなヒントが詰まってるんだよ。
1・「逃げられない」は思い込みだった?
僕:
最近さ、会社行く前にお腹痛くなるんだよね…。
「もう無理かも」って思っても、なんか…行っちゃうんだよ、結局。
逃げたいのに、逃げられないっていうか。
しおり:
それね、中島輝さんの言葉を借りるとね――
**「人は逃げられないんじゃなくて、“逃げない”という選択をしているだけ」**なんだって。
僕:
え…それ、どういう意味?
逃げないって…俺、自分で選んでるの?この状態を?
しおり:
たとえばだけど、大きな地震がきたらさ、逃げるのが自然でしょ?
火事が起きたら、誰だって命を守るために逃げる。
それと同じで、本当は人間には“逃げる力”がちゃんと備わってるの。
僕:
うーん…でも、俺たちってさ、「逃げたら負け」とか「逃げるやつは根性なし」って言われて育ってきたじゃん?
なんかもう、それが身体に染みついちゃっててさ…。
しおり:
そうなんだよね。
でも、それってただの思い込みなんだよ。
「今は逃げたほうがいい」と思える柔軟さも、生き抜くために大事な力なんだよ。
僕:
……たしかに。
逃げられないって、思い込んでただけなのかもな。
本当は、もう逃げてもいいくらい、頑張ってきてたんだよな…。
2・「こうあるべき」を手放していい理由
僕:
たぶんさ、俺…自分で自分を追い込んでる気がする。
「ちゃんとやらなきゃ」「社会人なんだから」って、勝手にハードル上げてる。
でも、それがもう、きつくてさ…。
しおり:
うん、それってまさに「〜すべき」って思考だよね。
本の中でも、中島さんは言ってるよ。
**「“べき”で生きると、心はどんどんすり減っていく」**って。
僕:
でも…ちゃんとしてないとダメな気がして。
迷惑かけたらいけないとか、責任ある立場だからとか。
なんか、ずっと気を張ってる感じ。
しおり:
その「ちゃんとしなきゃ」が、本当に“自分の声”なのか、ちょっと立ち止まって考えてみてもいいかも。
多くの人が、「自分はこうあるべき」って決めつけて、その通りに生きようとして苦しくなってるんだよ。
僕:
たしかに俺、「周りに迷惑かけちゃいけない」とか「上司に頼られたら応えなきゃ」とか、
…自分で自分をがんじがらめにしてたかもしれない。
しおり:
うんうん。
でも人間ってね、本当は多面的な存在なの。
優しい自分も、弱い自分も、ちょっとズルい自分だって、ぜんぶあっていい。
「こうあるべき」じゃなくて、「今の自分って、こういう面もあるよね」って認めることが大切なんだよ。
僕:
……そっか。
ひとつの“ちゃんとした自分”に縛られすぎてたのかも。
もっと肩の力抜いて、「これも自分でいいじゃん」って思えたら、ちょっと楽になるかもしれないな。
3・心のごちゃごちゃを“断捨離”する方法
僕:
…最近ずっと、頭の中がぐちゃぐちゃでさ。
あの人にどう思われてるんだろうとか、上司の一言が気になって仕方なくて。
家に帰っても、心が全然休まらないんだよね。
しおり:
うん、それもよくある状態なんだよ。
中島さんの言葉を借りるなら――
**「心の中が、他人の声や妄想で散らかってる」**って状態かな。
僕:
あぁ…まさにそれ。
自分の気持ちよりも、「どう見られてるか」とかばっかり気にしてる。
しおり:
そういうときは、**心の“断捨離”**が必要なんだよ。
いまの自分に本当に必要な情報だけを残して、それ以外は手放していいの。
たとえば、「上司が今日は冷たかったな」って思ったら――
それが事実なのか、ただの思い込みなのか、一度立ち止まって考えてみて。
僕:
でもさ、考えるのをやめようとしても、つい頭の中でループしちゃうんだよ…。
「嫌われたかも」って妄想にハマって、勝手に落ち込んで。
しおり:
うん、それも人間らしい反応だよね。
でも、妄想は現実じゃない。
そんなときは、「◯◯について考えるのをやめます」って声に出してみるといいよ。
実はそれだけでも、けっこう効果あるんだって。
僕:
声に出す…? ちょっと変な感じだけど、やってみる価値あるかも。
「人間関係について考えるのをやめます」…みたいな感じ?
しおり:
そうそう!
それで、心にスペースが空いたら、自分が本当に大切にしたい気持ちが見えてくるよ。
僕:
そっか…。
心の中、ずっとパンパンだったな。
まずは整理整頓、だね。
4・1時間だけ、逃げてみよう
僕:
しおり、正直さ…「もう全部投げ出したい」って思う瞬間があるんだ。
でも、そのあとに「いや、そんなわけにはいかない」って無理やり踏みとどまってる。
この繰り返しで、だんだん疲れてきた。
しおり:
うん、その気持ちもすごくよくわかるよ。
でもね、中島さんはこう言ってるんだ。
「1時間だけ逃げる」って決めてみると、心がラクになるって。
僕:
1時間だけ…逃げる?
それって、どういうこと?
しおり:
「会社を辞める」とか「全部放り出す」じゃなくて、
**“いったん、今抱えてる問題から距離を置く”**ってこと。
本屋に行ってもいいし、コーヒー飲みながら好きな本読んでもいい。
とにかく、意識的に“そのことを考えない時間”を作るの。
僕:
……たしかに、いつも頭の中、仕事のことばっかだった。
休んでても、心が全然休まってない。
しおり:
うん、そういうときこそ、“あえて逃げる”時間が必要なんだよ。
問題を解決するためにも、いったん視点を変えるって、大事なことなんだ。
僕:
ちょっとだけなら、逃げてもいいのか…。
1時間だけって決めたら、罪悪感も少なくてすみそうだね。
しおり:
そうそう。
たった1時間でも、気持ちがリセットされて、新しい視点が見えてくることってあるから。
僕:
よし、今度しんどくなったら、コンビニでコーヒー買って、公園のベンチでぼーっとしてみる。
“1時間だけ、逃げる”って、なんかいいね。
助けを求めることは、弱さじゃない
僕:
実はさ、仕事のことでしんどいときでも、誰にも相談できなくて…。
「甘えてると思われたらどうしよう」って考えたら、黙るしかなかった。
しおり:
うん、その気持ちもすごくわかるよ。
でもね、“頼る”ってことは、決して弱さじゃないんだよ。
中島さんも本の中で、はっきりそう言ってるの。
僕:
でも、子どもの頃から「人に迷惑かけるな」って言われて育ってきたし…
人に頼るのって、どこか“いけないこと”みたいな気がしてた。
しおり:
うん、それは日本の文化的な刷り込みみたいなものかもね。
でも、本当は――
「人は一人で生きていけない」っていう事実のほうが、ずっと自然で正直なことなんだよ。
僕:
……たしかに。
俺も、誰かに「手伝って」って言われたら、ちゃんと手を貸すし。
自分だけが我慢する必要なんて、なかったのかも。
しおり:
その通り!
それにね、助けを求められたときって、人は「頼ってくれて嬉しい」って感じることも多いんだよ。
だから、思いきって声をかけてみるのも、大事な一歩だと思うな。
僕:
…ちょっと勇気がいるけど、今度は素直に「しんどいです」って言ってみようかな。
それだけでも、少しラクになる気がする。
しおり:
うん、それでいいんだよ。
「頼る」ことを、自分に許してあげようね。
📝まとめ|「逃げる」ことは、生きる力だ
状況(悩み) | 原因 | ゆるい逃げ方(対策) |
---|---|---|
「もう限界なのに辞められない」 | 「逃げるのは悪いこと」という思い込み | 「逃げてもいい」と自分に許可を出す |
「ちゃんとしなきゃ」と苦しくなる | 自分を「こうあるべき」と決めつけている | 多面的な自分を認める |
頭の中が人のことでいっぱい | 他人の目を気にしすぎて妄想が渦巻く | 不要な思考は“断捨離”して声に出して手放す |
思考がぐるぐるして止まらない | 問題からずっと離れられていない | 「1時間だけ逃げる」時間を意識的に作る |
人に頼れず、全部抱え込んでしまう | 「迷惑をかけてはいけない」という思い込み | 思いきって助けを求めてみる |
おわりに|またしんどくなったら、逃げ道を思い出して
僕:
なんかさ…今日、しおりに話を聞いてもらって、ちょっとだけ肩の力が抜けた気がする。
「逃げてもいい」って思うだけで、こんなにラクになれるんだなって。
しおり:
それが、“心の逃げ場”を持つってことなんだよね。
実際に逃げるかどうかは別として、「逃げ道がある」って知ってるだけでも、人は踏ん張れるの。
僕:
うん、たしかに。
今までは「逃げちゃダメ」って自分に言い聞かせて、余計に苦しくなってたのかも。
でも、これからは、ちゃんと逃げ方も覚えておく。
…なんか、生きやすくなりそう。
しおり:
よかった。
しんどくなったときは、またいつでも図書館に来てね。
“逃げる技術”は、心のリュックにそっと入れておこう。
僕:
うん。ありがとう、しおり。
…じゃあまた来るよ。
📘紹介した本
『立ち止まっても休んでもいい 自分を取り戻すゆるい逃げ方』
著:中島 輝(SBクリエイティブ)
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