『サクッとわかる 行動経済学』僕の選択は“自分の意思”じゃなかった!?しおりと読み解く、無意識の心理トリック

習慣・生活

はじめに|「自分で決めてる」って、本当?

僕:
「しおり、最近なんか無駄遣いが増えてきた気がして…コンビニ行くたびに、いらんお菓子とかジュースとかつい買っちゃうんだよね。」

しおり:
「それ、“つい”買っちゃうってところがポイントね。もしかすると、自分で選んでいるようで、実は“選ばされてる”のかもしれないわよ。」

僕:
「えっ? いやいや、僕はちゃんと自分の意思で決めてるつもりだけど…」

しおり:
「ううん、人って“合理的に判断してる”と思っていても、実は“心理的なクセ”に引っ張られてるの。たとえばね、今日紹介したい本があるの。」

僕:
「え、本?」

しおり:
「そう。東京大学の教授・阿部誠さんが書いた
**『サクッとわかる 行動経済学』(あさ出版)**よ。
ビジネスや心理学にもつながる“行動経済学”の考え方を、マンガや事例でわかりやすく解説してくれているの。」

僕:
「行動経済学って、名前は聞いたことあるけど…自分の行動と関係あるのかな?」

しおり:
「すごくあるわよ。たとえば“なぜ人は同じミスを繰り返すのか”とか、“損するって分かっててもやめられない理由”なんかも、行動経済学で説明できるの。」

僕:
「え、それ、まさに僕のことじゃん…!」

しおり:
「ふふっ。じゃあこれから、一緒に“僕たちが無意識にしてしまう行動のトリック”を見ていきましょ。きっと“あるある!”って思えることがたくさん出てくるわ」

1. 過去の記憶に頼って選んでしまう

僕:
「そういえば、ランチになると毎回“唐揚げ定食”頼んじゃうんだよね…他にもメニューあるのに。」

しおり:
「それね、“過去に選んでよかった記憶”が無意識に働いてるの。“経験依存バイアス”っていう心理的なクセよ。」

僕:
「たしかに…“前も美味しかったから”って選んでるだけかも。なんか自分の意思ってより、記憶に流されてる感じだね。」

しおり:
「そう。人は“失敗したくない”気持ちが強いから、以前うまくいった選択に自然と頼っちゃうのよ。企業もそれを分かっていて、早いうちに“いい記憶”を植え付けようとするの。」

僕:
「もしかして…マクドナルドが子ども向けのCMをよく出してるのも、そのせい?」

しおり:
「正解。創業者の藤田田さんは『12歳までにハンバーガーの味を覚えさせろ』って言ってたそうよ。」

僕:
「うわ…今もたまに“マック食べたいな”って思うの、それ子どもの頃の記憶が原因かも…こわい…」

2. 見たことがあるだけで信頼してしまう

僕:
「あとさ、ヘアワックスとか歯磨き粉も、なんとなくCMで見たやつばっか選んでる気がする。」

しおり:
「それは“単純接触効果”ね。何度も見たり聞いたりしたものに対して、人は安心感を持つようになるの。」

僕:
「え、内容とか成分とか関係なく? ただ“知ってる”ってだけで?」

しおり:
「そうなの。“見たことある”ってだけで、“これは安全”“これは信頼できる”って思い込んでしまうのよ。」

僕:
「たしかに…中身なんて全然知らないのに、“キムタクがCMしてた”ってだけで買ったやつ、何個もあるわ…」

しおり:
「広告の力、侮れないでしょ? 企業は“買ってもらう”前に“記憶に残す”ことを重視してるの。」

僕:
「つまり、商品を覚えてもらうだけで半分勝ったようなもんか…恐ろしい世界だな。」


3. 今の快楽を優先してしまう

僕:
「最近ダイエットしてるのに、ついついコンビニスイーツ買っちゃうんだよね…」

しおり:
「それ、“現在バイアス”が原因かも。“将来の健康”より、“今の甘い幸せ”を選んでしまう心理よ。」

僕:
「それめっちゃある…。節約しようと思ってたのに、給料日直後に高めのランチとかいっちゃうし。」

しおり:
「だから“先取り貯金”とか“自動積立”が有効なの。“意思の力”で頑張るより、“誘惑に負けない仕組み”を作っておくほうが行動経済学的には正解よ。」

僕:
「なるほど…誘惑に勝てる人間になるより、誘惑を封じるシステムを先に作るってことか…」

4. やめられないのは“損したくない”から|サンクコスト効果

僕:
「スマホゲームでさ、ガチャに3,000円課金したのに目当てのキャラ出なくて…。なのに“ここでやめたら損だ”って思って、さらに回しちゃったんだよね…」

しおり:
「それが“サンクコスト効果”よ。すでに払ったお金や時間がもったいなくて、さらに損を重ねてしまう心理なの。」

僕:
「たしかに…『ここまで来たんだから』って思っちゃうんだよな。もう引けない!って…」

しおり:
「でも、使ったお金や時間は戻ってこないわ。むしろ冷静な判断ができなくなるから、気づいたら“さらに損してる”こともあるの。」

僕:
「たしかに…。読んでも面白くない本を、途中でやめるのがもったいなくて無理やり読んでるときもあるかも。」

しおり:
「その時間こそ、別の良い選択に使えるかもしれないのにね。もったいないって気持ち、手放す勇気も大事よ。」


5. 印象に残るのは“最初・ピーク・最後”|ピーク・エンドの法則

僕:
「こないだのプレゼン、最初の自己紹介で噛んじゃってさ…最後も焦って終わらせたし、全然印象に残らなかったかも。」

しおり:
「それ、“ピーク・エンドの法則”が関係してるわ。人の記憶に残るのは、“最初”と“感情が動いた瞬間(ピーク)”と“終わり方”。」

僕:
「じゃあ内容が良くても、最初と最後がグダグダだったら印象は…悪いってこと?」

しおり:
「残念だけど、そういうことね。逆に最初と最後を丁寧にすれば、全体の印象もぐっと良くなるわ。」

僕:
「たしかに…デートもそうだよね。最初にテンション低くて、最後は無言で帰っちゃったときとか、なんか台無し感あったな…」

しおり:
「ビジネスも恋愛も、“第一印象と別れ際”が勝負なの。相手の記憶に何を残すか、意識しておくといいわよ。」


6. 言い方ひとつで印象が変わる|フレーミング効果

僕:
「“生存率90%”と“死亡率10%”って、言ってること同じなのに、全然受け取り方違うよね。」

しおり:
「それが“フレーミング効果”。同じ情報でも、“どう表現されるか”で人の判断や感情は大きく変わるの。」

僕:
「SNSとかでもあるよね。“この商品は残念だった…”って書かれると印象悪いけど、“ここを改善したらもっと良くなるかも”って書き方なら受け取りやすい。」

しおり:
「そう。“言い方”で人の心のドアは開いたり閉じたりするの。だから、自分の言葉も気をつけて選びたいわよね。」

僕:
「なるほど…“正しい情報”よりも、“どう伝えるか”が大事なんだな。これ、職場でも使えそう。」

7. 興味のあることだけを聞き取ってしまう|カクテルパーティー効果

僕:
「この前、カフェで作業してたら、隣の会話が耳に入ってきてさ。なんでかっていうと、僕の好きなアーティストの名前が出てきたんだよね。」

しおり:
「それ、“カクテルパーティー効果”って言うの。たくさんの音がある中でも、自分の興味のある言葉だけを聞き取ってしまう現象よ。」

僕:
「なるほど…。たしかに雑音の中でも、好きな話題はすぐ気づくもんね。」

しおり:
「これは“脳が不要な情報を自動でカットしてる”ってことでもあるの。でも裏を返せば、“自分が見たいものしか見てない”とも言えるのよ。」

僕:
「たしかに…。お金のこと調べたいときは投資の話しか見ないけど、ダイエット情報とか完全にスルーしてるかも。」

しおり:
「大事なのは、“気づいてない情報”の中に、本当に必要なことが眠ってるかもしれないってことね。」


8. 得よりも損を避けたい気持ち|損失回避性

僕:
「“確実に100万円もらえる”って言われたら、絶対それ選ぶなあ。たとえ“50%の確率で200万円”って言われても、ゼロになったら怖いし。」

しおり:
「それが“損失回避性”よ。人は“得をする喜び”より、“損する痛み”の方に強く反応するの。」

僕:
「つまり、“得したい”じゃなくて、“損したくない”から行動してるってことか…」

しおり:
「そう。人間は本能的に“リスクを避けたい”生き物なの。だから保険や安定志向の選択が支持されるのも、この心理が関係してるわ。」

僕:
「でも、そのせいでチャンスを逃すこともあるんだろうな…難しいなあ。」


9. 追い詰められるとギャンブルに走る|リスク選好

僕:
「でも不思議なことに、金欠のときに限って“宝くじ買っちゃおうかな…”って思っちゃうんだよね。」

しおり:
「それが“リスク選好”よ。追い詰められた状況では、人はむしろリスクを取りたくなるの。」

僕:
「普通なら“確実な道”を選ぶのに、ピンチになると“一発逆転”にかけたくなるってこと?」

しおり:
「そうなの。借金がある人がギャンブルに走る心理や、困窮している人ほど詐欺や怪しい儲け話に引っかかりやすいのも、これが原因ね。」

僕:
「なるほど…冷静さを失ってるときほど、“ありえない希望”にすがっちゃうんだ。」

しおり:
「だから大事なのは、“自分の心が不安定なときほど、大きな決断を避ける”ってこと。焦ってるときこそ、立ち止まる勇気を持ってほしいな。」

💡心理トリックまとめ表

心理現象名どんなクセ?対策のヒント
経験依存バイアス過去の成功体験に引っ張られて選ぶ時々“選び直す”習慣を持つ
単純接触効果よく見るもの=安心・信頼と感じてしまう「なぜ選んだのか」を一度立ち止まって考える
現在バイアス今の快楽が将来の利益より優先されてしまう“先取り貯金”や“自動積立”など仕組み化する
サンクコスト効果もったいないからやめられない撤退条件をあらかじめ決めておく
ピーク・エンドの法則最初・盛り上がり・最後が印象を決める始まりと終わりを丁寧に演出する
フレーミング効果言い方によって印象がガラッと変わるポジティブな表現を意識して使う
カクテルパーティー効果興味のある情報だけが目に入る自分の視野の“偏り”に気づく
損失回避性得よりも損を避けたい気持ちが強い“損”への感情に流されすぎないよう意識する
リスク選好ピンチのときほどギャンブルに走ってしまう焦っているときはあえて“動かない”を選択する

しおりと僕のラストメッセージ

僕:
「“自分で選んだはずなのに、なんで後悔するんだろう”って思ってたけど、理由がちゃんとあったんだね。」

しおり:
「そう。気づけたなら、もう第一歩は踏み出せてるのよ。“無意識のクセ”を知れば、少しずつ選び方も変わっていくわ。」

僕:
「これからは、立ち止まって考えるクセをつけてみるよ。」

しおり:
「焦らなくていいの。ひとつずつ、自分のペースで。いつでも図書館で待ってるからね。」

📘書籍紹介

書籍名:『サクッとわかる 行動経済学』
**著者:**阿部誠
**出版社:**あさ出版

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