はじめに|がんばってるのに、苦しいあなたへ
僕:
ねぇ、しおり。
最近なんだか疲れちゃって。頑張ってるつもりなんだけど、結果は出ないし、周りはうまくいってるように見えるし…。
「もっと努力しなきゃ」って思ってがんばるほど、どんどん苦しくなるんだよね。
しおり:
うん…その気持ち、すごくわかるよ。
ちゃんと働いて、ちゃんと頑張って、ちゃんと生きてるのに――
「なんで報われないんだろう?」って、ふっと思ってしまう時ってあるよね。
僕:
そう…。
しかも周りからは「努力が足りない」とか、「やる気ないの?」とか言われたりして、どんどん自信がなくなっていく…。
しおり:
だから今日はね、そんな「がんばりすぎて、しんどくなってる人」にこそ読んでほしい本を紹介したいの。
📘ハ・ワンさんの
『あやうく一生懸命生きるところだった』(ダイヤモンド社)
っていう一冊なんだけど…
僕:
……タイトルだけで、なんか泣きそうだ。
しおり:
ふふ、わかるよ。
この本はね、「一生懸命に生きること」が正解だと思い込んでいた著者が、ふと立ち止まって、**“自分らしく生きる”**ことに目を向けるようになった、そんな気づきの記録なんだ。
僕:
それ、すごく気になる。
どうやったら“自分らしく”なんて生きられるのかな?
しおり:
じゃあ今日は一緒に、「報われない努力」「やる気のなさ」「比較や期待の罠」…そんなテーマを通して、“がんばりすぎない生き方”のヒントを見つけていこう。
努力は報われないこともある。でも、それでいい。
僕:
しおり、正直…「努力は必ず報われる」って、子どもの頃から信じてたんだよね。
でも現実って、そうじゃないことも多くて…。
しおり:
うん、それってすごく大事な気づきだよ。
ハ・ワンさんもこの本で言ってたの。
**「努力は、必ずしも報われない。努力は私たちを簡単に裏切る」**って。
僕:
……たしかに。
学生時代も、社会人になってからも、めっちゃがんばったのに結果が出なかったこと、いっぱいあるなぁ。
しおり:
逆に、「あの人、そんなに努力してないのにうまくいってるよな…」って感じることもあるよね?
実際、才能・タイミング・運が絡むと、努力だけじゃ届かないこともある。
僕:
うん…。じゃあもう努力なんてムダじゃんって思いたくなる。
しおり:
でもね、ハ・ワンさんが伝えたいのは、**「努力を否定する」んじゃなくて、「報われることが前提だと思い込むのはやめよう」**ってこと。
努力は“やってみること”に意味があるんだよ。
僕:
なるほど…。
「見返りがないなら意味ない」って思ってたけど、それ自体がしんどさの元だったのか。
しおり:
そうなの。
「これだけ頑張ったから、これくらい返ってくるはず」って思いすぎると、うまくいかなかったときに自分を責めちゃう。
“見返りを期待せずにやってみる”って、じつは一番ラクな努力のしかたかもしれないね。
僕:
報われなくてもいいから、やりたいことをやってみる。
それだけで十分だったんだなぁ…。
やる気がなくても、生きてていい
僕:
……ぶっちゃけると、最近やる気が出ないんだ。
朝も仕事も、全部が「義務」って感じで。
「こんな自分ダメだな」って思ってたけど…。
しおり:
うん、その気持ち、すごくよくわかるよ。
でもね、ハ・ワンさんはこう言ってるの。
「やる気がなくても、働いていい」って。
僕:
え、それアリなの?
よく「やる気がないなら辞めろ」みたいに言われるけど…。
しおり:
うん、それがプレッシャーになって、かえって人を追い詰めてるよね。
でも本当は、働く理由って“やる気”じゃなくて“生活のため”で十分なんだよ。
好きでも得意でもなくていい、淡々と働けばいいの。
僕:
……それ、救われる。
やる気がない=存在価値がない、みたいに感じてたからさ。
しおり:
しかもね、「やる気」って実は愛情と似てるの。
自然に湧いてくるもので、無理やり出すものじゃない。
無理にやる気を出そうとするほど、逆に心が疲れてしまうんだって。
僕:
ああ、まさに今の僕だ。
やる気を出そうとして、空回って、自己嫌悪ループに入ってた気がする…。
しおり:
そういう時こそ、「やる気がなくても大丈夫」って自分に言ってあげてほしいな。
続けてるうちに慣れたり、好きになったり、やる気が“あとからついてくる”こともあるしね。
僕:
うん…「やる気がない自分」にも、居場所をあげていいんだって、思えたよ。
“ちゃんとしなきゃ”を捨てて、自分の道を選ぶ
僕:
なんでだろう…最近、周りの目ばっかり気にしてる気がするんだ。
結婚とか、昇進とか、車とか、みんな“持ってて当たり前”みたいな空気があるじゃない?
しおり:
うん、それってまさに**“人生のマニュアル”**だね。
でもハ・ワンさんはそこに疑問を感じて、40歳を前にして会社を辞めたの。
「このまま生きていても、自分の人生を生きてる気がしなかった」って。
僕:
えっ…40歳で退職!? 勇気あるなあ。でもちょっと憧れる…。
しおり:
最初はね、彼も“ちゃんとした人間”を目指してたんだって。
出世、お金、結婚…
でも気づいたの。「誰かに褒められるために頑張る人生は、苦しい」って。
僕:
ああ……耳が痛いけど、わかるなぁ。
「立派な大人にならなきゃ」って、勝手に縛られてたかも。
しおり:
でも本当に大切なのは、**“何を持っているか”じゃなくて、“自分のポリシーを持っているか”**なんだよね。
周りがどう思おうと、自分が納得して選んだ道なら、それがその人の正解なんだよ。
僕:
うわ…今まで、「この年齢ならこれくらいの人生」って、他人の人生をなぞろうとしてた気がする…。
しおり:
だからこそ、勇気を持って“マニュアル”を手放すことが大事なんだと思う。
それが、自分の人生をちゃんと「選ぶ」ってことなのかもしれないね。
僕:
よし、ちょっとずつでも、”ちゃんと”を手放してみようかな。
他人と比べて落ち込むクセ、そろそろ手放しませんか?
僕:
SNSを見てると、つい比べちゃうんだよね…。
同級生が結婚してたり、会社で出世してたり、いい暮らししてたり…。
「自分はなんでこんなに遅れてるんだろう」って、落ち込むんだ。
しおり:
うん、比べたくないのに比べちゃうよね。
でもハ・ワンさんは言ってたよ。
**「他人と比べることは、最も手っ取り早く不幸になる方法」**だって。
僕:
たしかに…。
比べれば比べるほど、自分のダメなところばっかり見えてくる…。
しおり:
しかもね、不思議なことに、比べる相手っていつも「ちょっと自分より上の人」なんだよね。
ビル・ゲイツとかイチローには嫉妬しないでしょ?
僕:
ああ、たしかに。
身近で“自分と似た人”がうまくいってると、グサッとくるんだよね…。
しおり:
でもそれって、**“どんぐりの背比べ”**なんだよ。
本人たちは真剣でも、外から見たら「どっちも似たようなもん」ってこと、たくさんある。
僕:
なんか…笑えるけど、刺さるなあ、それ。
しおり:
だから、もしまた比べそうになったら、心の中でこうつぶやいてみて。
**「これは、どんぐりの背比べだ」**って。
そうすれば、少しだけ心が軽くなるはずだよ。
僕:
うん、いいねそれ。
比べたくなったら、「どんぐり、どんぐり…」って唱えてみるよ。笑
“この道しかない”という思い込みが人生を苦しくする
僕:
実はさ…前の会社を辞める時、すごく怖かったんだ。
「ここを辞めたらもう人生終わりかもしれない」って思ってて。
しおり:
うん、その気持ち、すごくわかるよ。
ハ・ワンさんも学生時代、**「韓国一難しい大学に受からなければ人生終わり」**って思い込んで、3回も不合格になって、絶望したって話があるの。
僕:
それ、僕も似たようなことしてたな…。
「この会社で出世しないと」「この人と結婚しないと」みたいに、一択しか見えてなかったかも。
しおり:
でもね、その「一択」って、実は自分で勝手に決めつけてるだけなんだよ。
「他の選択肢がない」と思い込むからこそ、人は追い詰められるんだって。
僕:
……たしかに。
辞めたあとの未来なんて真っ暗だと思ってたけど、今こうして生きてるし。
しおり:
うん、視野が狭くなってるときは、「ちょっと顔を上げてみる」だけでも違うよ。
他にも道はある。一つがダメでも、終わりじゃない。
僕:
そっか…。自分で“詰み”を宣言してただけだったのかも。
勝手にレールを作って、勝手に絶望してた…。
しおり:
そう。
だから大事なのは、「この道しかない」と思い詰めないこと。
人生はいつでも、軌道修正できるってことを、覚えておこうね。
僕:
ありがとう、しおり。
今の僕に、一番効く言葉だったかも。
行動しなかった後悔は、長く残る
僕:
最近ふと思い出すんだよね。
昔、挑戦しようと思ってたことがあったのに、勇気が出なくてやめちゃったこと…。
しおり:
あるよね、そういうの…。
ハ・ワンさんも子どもの頃、映画監督になりたいって夢があったのに、何も行動しないまま諦めたって書いてた。
僕:
……行動しなかったって、実は一番心に残るよね。
しおり:
うん、たとえ失敗しても、やってみたことは「経験」になる。
でも、やらなかったことは“もしも”のまま心に残って、ふいに胸を締めつけるんだよね。
僕:
僕も、好きだった子に声かけられなかったこと、いまだに覚えてるなぁ…。
もう何年も前のことなのに。
しおり:
それだけ、本当は自分にとって大事だったってことだよね。
だからこそ、ハ・ワンさんはこう言ってるの。
**「人生、もっと下手こいていこう」**って。
僕:
……その言葉、いいな。
失敗してもいいって、なんかホッとする。
しおり:
うん。
失敗する勇気より、行動しない後悔の方が、ずっと重いんだと思う。
だったら、やってみたほうがいい。うまくいかなくても、自分の人生をちゃんと“生きた”って思えるから。
僕:
そっか…。
次に何か迷ったら、「やるほうを選ぼう」って、ちょっとずつでも思えるようになりたいな。
“ダメな自分”を受け入れると、自尊心は育つ
僕:
正直、自分のことを好きになれない時が多いんだ。
何やっても中途半端だし、人より劣ってる気がしてさ…。
しおり:
うん…その気持ち、すごくよくわかるよ。
でもね、ハ・ワンさんは言ってたの。
**「自尊心が低い人の多くは、“本当の自分”を過大評価している」**って。
僕:
えっ? 過小評価じゃなくて、過大評価?
しおり:
そうなの。
「本当はもっとできるはずなのに」とか「こんなはずじゃない」って思いすぎて、現実の自分と理想のギャップに苦しんじゃうんだって。
僕:
たしかに…「自分はもっとやれる」って思ってるのに、何もできてないって感じることあるかも…。
しおり:
だからこそ大事なのは、“今の自分”をちゃんと認めてあげること。
「理想の自分」じゃなくて、「現実の自分」と仲良くなることが、本当の意味での自尊心につながるんだよ。
僕:
なるほど…。
「これくらいの自分でも、まあ悪くない」って思っていいんだね。
しおり:
うん、それでいいの。
動物だって、他のリスと比べて落ち込んだりしないでしょ?
幻想を持たず、ありのままで生きてるから、自由に行動できる。
人間も、そうやってちょっと肩の力を抜いて生きた方が、ずっとラクになるよ。
僕:
そっか…「ダメな自分」を許せたら、生きるのが少し軽くなるかも。
今日からちょっとずつ、自分に優しくしてみるよ。
お金のために、自由を後回しにしない生き方
僕:
正直、お金のことを考えると、不安でいっぱいになるんだよね。
「もっと稼がなきゃ」「将来のために貯金しなきゃ」って思ってると、今の自由を削るしかなくて…。
しおり:
うん…すごく共感できる悩みだよね。
でもね、ハ・ワンさんは思い切って**「1年間、あえてお金を稼がない」**という選択をしたんだよ。
僕:
ええっ…? それって、めっちゃ怖くない? 大丈夫だったの?
しおり:
たしかに怖いよね。でも彼はこう考えたの。
**「お金のために自分の自由を犠牲にし続けていたら、一生自由にはなれない」**って。
僕:
ああ…その言葉、グサッとくるな。
僕も、未来の不安ばかり見て、今の自分をずっと我慢させてたかも。
しおり:
もちろん、生活に必要なお金はいるよ。
でも大切なのは、**「どこまでが自分にとっての“ちょうどいい豊かさ”なのか」**を見つけることなんだと思う。
僕:
たしかに、欲張って働きすぎて、自由も心の余裕もなくなったら、本末転倒だよね。
しおり:
うん。
ハ・ワンさんも、**「今の生活が維持できるくらいの収入で十分」**と考えるようになって、
自分らしく働けるようになったんだって。
僕:
僕も“なんとなく将来のため”に働くんじゃなくて、
“今の自分のため”に働くって意識してみたいな…。
しおり:
それだけで、きっと心の自由度が全然違ってくるよ。
人生は「今この瞬間」しか生きられないんだもん。
🎯まとめ表|心を軽くして生きるための9つのヒント
問題になりがちな思考 | 苦しさの原因 | 心をラクにする考え方 |
---|---|---|
努力すれば必ず報われる | 成果と努力が釣り合わないこともある | 努力は報われなくても“意味がある” |
やる気がないと働けない | やる気=価値と誤解してしまう | 淡々と続けるだけでもいい |
「ちゃんとした大人」像に縛られる | 他人の期待に生きようとしている | 自分のポリシーで生きる |
他人と比べて落ち込む | 近い存在ほど比較しやすい | 「どんぐりの背比べ」と気づくこと |
期待しすぎてガッカリする | 期待と現実のギャップに苦しむ | ほどほどの期待が“毎日を楽しく”する |
「この道しかない」と思い込む | 視野が狭まり絶望する | 選択肢は一つじゃない |
行動せず後悔する | 夢や気持ちを置き去りにしてしまう | 失敗しても“やってみた”ほうがいい |
ダメな自分が許せない | 理想の自分と現実のギャップ | “このままの自分”を認めること |
お金のために自由を犠牲にする | 将来の不安ばかりを優先する | 今を大切にする働き方を選ぶ |
最後に|一生懸命じゃなくていい。あなたの人生なんだから
しおり:
「がんばらなきゃ」って思う気持ちは、決して悪いことじゃない。
でも、それが自分を追い詰めているなら――
ちょっと立ち止まって、“本当に進みたい方向”を見直してもいいんだよ。
僕:
うん…。がんばることが目的じゃなくて、“自分らしく生きるために”がんばるってこと、忘れてたかも。
しおり:
うまくいかなくてもいい、やる気がなくてもいい、他人と違ってもいい。
あなたの人生は、あなたのもの。
だから、時には心のブレーキを踏んで――ゆっくりでも、自分の道を選んでいいんだよ。
僕:
……ありがとう、しおり。
今日は、ちょっと心が軽くなった気がする。また来てもいい?
しおり:
もちろん。いつでも図書館で待ってるよ📘✨
📕 書籍情報
『あやうく一生懸命生きるところだった』
ハ・ワン 著/ダイヤモンド社
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