もう悩まなくていいんだ|“無”という最高の状態に近づく方法

人間関係・コミュニケーション

はじめに|「なんでこんなに悩んでしまうんだろう…」

僕:
ねえ、しおり。
なんか最近、ずっと不安でさ。
特に何かあったわけじゃないのに、心がザワザワするんだよ。

しおり:
うん、それってすごくよくあることなんだよ。
「なんでこんなに悩んでしまうんだろう…」って、誰もが一度は思うよね。

僕:
そうそう。
過去のこととか、これからのこととか、ずっと頭の中でぐるぐるしてる感じ。
正直、しんどい。

しおり:
実はね、そういう“ぐるぐる”は、**「脳が勝手に作ってる物語」**かもしれないの。

僕:
え、物語? 僕が書いてるの?

しおり:
うん、ある意味そう。
それを教えてくれるのが、**鈴木祐さんの『無(最高の状態)』**って本なんだ。
この本は、「苦しみの正体」と「そこから抜け出す方法」を、すごくわかりやすく教えてくれるの。

僕:
なんか気になる…。
自分で苦しみを作ってるのかもしれないって考えると、怖いけどちょっと知りたくなってきた。

しおり:
よかった。じゃあ今日は一緒に、
「どうして人は悩み続けてしまうのか」
そして、
「どうすれば“無”という穏やかな状態に近づけるのか」
を見ていこう。

僕:
うん。しんどさの原因が少しでもわかるなら、知りたい。
よろしくね、しおり。


「苦しみ」は自分で増幅している?──“二の矢”の正体

僕:
この前ちょっと仕事でミスしてさ…。
そっから「また失敗したらどうしよう」とか、「なんであんなことしたんやろ」って、ずーっと考えちゃってさ。
正直、実際のミスよりもその後の自分責めのほうがキツいんよ。

しおり:
うん、それがまさに「二の矢」なんだよ。

僕:
二の矢…? 何それ。武士の話?

しおり:
ふふ、ちょっと違うけど近いかも。
『無(最高の状態)』ではね、人の苦しみには「一の矢」と「二の矢」があるっていう考え方が出てくるの。

僕:
ふむふむ…?

しおり:
「一の矢」は、たとえば病気になったとか、仕事で怒られたとか、現実に起きた出来事による痛みのこと。
これは誰にでも起きるし、ある意味どうしようもない部分なんだ。

僕:
あー、実際に起こった出来事そのものってことか。

しおり:
そう。でね、「二の矢」は、その出来事に対して自分が考えすぎてしまうこと。
たとえば「自分ってダメだ」とか、「なんでこうなるんだろう」とか。
事実よりも、頭の中の反応が苦しみを大きくしているの。

僕:
ああ…めっちゃ思い当たる。
ミスした自分を責めて、関係ない未来まで勝手に心配してるわ…。

しおり:
うんうん。実は人間って、この「二の矢」で自分を一番苦しめてるの。
そしてその背景には、「自己意識」と「脳のクセ」があるんだよ。

僕:
なるほど…。
つまり「悩み」って、自分の頭の中で自動的に増幅されてるのか…。
怖いけど、ちょっとホッとしたかも。

しおり:
うん、それに気づけただけでもすごい一歩だよ。
次は、どうして僕たちがそんなふうに「苦しみを増幅してしまうのか」をもう少し深掘りしていこうか。


なぜ自己意識が強いほど、しんどくなるのか

僕:
さっきの「二の矢」の話、めっちゃ腑に落ちたよ。
でもさ、その“二の矢”って、どうして僕たちは放っちゃうんやろ?
放ちたくてやってるわけじゃないのにさ。

しおり:
うん、すごくいい疑問だね。
実はね、それも人間特有の“ある感覚”が関係してるんだよ。
それが——「自己意識」

僕:
自己意識?つまり…「自分ってこういう人間だ」って意識のこと?

しおり:
そうそう。
「私は私だ」っていう感覚が強ければ強いほど、私たちは自分を基準に物事を判断しやすくなる。
その結果、「なんで自分がこんな目に…」って苦しみが膨らんでいくんだよ。

僕:
あっ……確かに。
落ち込んでるときって、「自分ばっかり損してる」とか思いがち。

しおり:
でしょ?
それってまさに“自己”を中心に据えて考えてるからなんだ。
『無(最高の状態)』では、自己を中心に据えたままだと、感情も思考もすべてが「私のこと」として拡大し続けてしまうって説明されてたよ。

僕:
うわ、それめっちゃある…。
たとえばちょっと人に怒られただけでも、「あぁ、僕ってやっぱりダメなんだ」って思い込んじゃう。

しおり:
うん、ほんとは“ただ怒られただけ”なのに、そこに「私の人生のダメさ」とか「今後の未来」まで勝手に乗っかってくるんだよね。
それが「自己意識が強い人ほど、二の矢を放ちやすい」ってことなの。

僕:
なるほどなぁ…。
逆に言うと、「自己意識」がもう少しゆるければ、苦しみも小さくなるのかもね。

しおり:
その通り!
だからこそ、この本では“自己意識をゆるめるトレーニング”がすごく大事にされてるんだよ。

僕:
うん、だんだん見えてきた気がする。
じゃあ次は、その「自己意識」をゆるめるためのヒントをもう少し教えて?

しおり:
もちろん。
次は、「なぜ脳が勝手に苦しみの物語を作ってしまうのか」って話をしてみようか。


脳は“物語性臓器”──勝手に作られる苦しみのストーリー

僕:
「自己意識」が強いと苦しみやすくなるってのは、なんとなくわかってきた。
でも、それってそんなに勝手に生まれるもんなの?
僕、そんなにネガティブ物語ばっか作ってるつもりないんだけど…。

しおり:
それがね…脳って、めちゃくちゃ物語を作りたがる器官なんだよ。

僕:
物語を作りたがる…? なんかロマンチックな脳だな(笑)

しおり:
たしかにね。でも現実には、ちょっとやっかい。
『無(最高の状態)』では、人間の脳は**“物語性臓器”**だって説明されているの。

僕:
それってどういうこと?

しおり:
たとえばね、人が何かを見たり聞いたりしたとき、脳はその情報を**「ただのデータ」としてではなく、意味や背景のある“ストーリー”に仕立てるクセがある**の。

僕:
え、じゃあ、現実ってそのまま受け取ってないってこと?

しおり:
うん。たとえば誰かが無表情だったとするよね。
本当はただ疲れてただけかもしれないのに、脳は「僕に怒ってるんじゃ…」ってストーリーを勝手に作っちゃう。

僕:
……あるあるすぎて怖い。

しおり:
この物語生成はめちゃくちゃ早くて、0.1秒未満で勝手にスタートするって言われてるんだよ。

僕:
うわ、それ止めようとしても無理なやつ…。

しおり:
その通り。だから、「物語を作るな」って言われても無理なの。
でも大事なのはね、その物語に気づけるかどうかなんだよ。

僕:
つまり、「あ、また脳が勝手にストーリー作ってるな」って思えたら、それだけでちょっとラクになるってこと?

しおり:
そうそう!
逆に、その物語を本当の現実だと思い込んでしまうと、どんどん苦しみが増えていくんだよね。

僕:
……ってことは、僕がずっと引きずってた「上司に嫌われてるかも」って思い込みも、ただの“脳内ドラマ”かもってこと?

しおり:
そうかもしれないね。
でもね、それに気づけるようになる方法もちゃんとあるんだよ。

僕:
教えてよ!脳の暴走、ちょっとでも止められるなら知りたい!

しおり:
OK、次はそのための具体的な方法——**「停止」と「観察」**についてお話ししようか。


“無”に近づく2つの訓練──「停止」と「観察」

僕:
脳が勝手にネガティブな物語を作っちゃうのはわかった。
でもさ、それに気づくだけじゃ難しいときもあるよね。
もっと実践的な方法ってないの?

しおり:
うん、ちゃんとあるよ。
『無(最高の状態)』では、脳の“暴走”から抜け出すために、2つの方法が紹介されてるの。
それが、「停止」と「観察」

僕:
なんか瞑想っぽい言葉だな…。具体的にはどんな感じ?

しおり:
まず「停止」は、思考の流れを止めること。
脳が物語を作るのをやめるには、別のことに集中するのが一番手っ取り早いの。

僕:
へぇ、じゃあ何かに集中してれば、物語づくりは止まるってこと?

しおり:
その通り!
たとえば「呼吸」に集中するのが一番簡単。
鼻を通る空気の感覚、お腹のふくらみやへこみ…そういう一点に意識を向けるだけで、脳の“おしゃべり”が少し静かになるの。

僕:
それなら、僕にもできそう。仕事の合間とかでもできるよね?

しおり:
もちろん!最初は1日5分からで大丈夫。
繰り返すことで、「今ここ」に集中する力がどんどん高まっていくんだよ。

僕:
よし、呼吸に集中…って、やってるそばから他のこと考えてまうけど(笑)

しおり:
それでOKだよ。
考えが浮かんでも、「あ、浮かんだな」と気づいて戻る。それが練習。

僕:
なるほど、トレーニングなんだ。

しおり:
そう。そしてもうひとつが「観察」だよ。
これは逆に、浮かんでくる思考や感情をじっと見つめる方法なの。

僕:
え、止めるんじゃなくて、見つめるの?

しおり:
うん。「なんでこんなこと考えたんやろ?」って掘り下げるんじゃなくて、
ただ“流れていくもの”として見守るんだよ。
「あ、今『嫌われてるかも』って思ったな」「不安が出てきたな」って、第三者の目でそっと眺めるイメージ。

僕:
ああ、感情に巻き込まれずに、ちょっと距離を置く感じか。

しおり:
その通り!この観察の習慣を続けると、脳の“自己に関する領域”が変化するって研究もあるんだよ。

僕:
すご…!薬じゃなくても脳って変わるんやな…。

しおり:
うん、少しずつだけどね。
「停止」で思考の流れを止め、「観察」で自分を客観的に見つめる——
その積み重ねが、“無”という穏やかな状態への入り口になるの。

僕:
なるほど…。呼吸に意識を向けたり、浮かぶ感情をただ見守ったり。
これなら今日からでも始められそうだね。

しおり:
うん。どっちも「自分を責めない」優しい練習だよ。
さあ、ここまで来たら最後に、今日の内容を一緒にまとめてみようか。


まとめ|悩みの正体と「無」に近づくための方法

問題原因対策(練習)
何もないのに不安が続く自分で「二の矢」を放ってしまっている「停止」で思考の流れを止める
人の目や言葉に過剰に反応してしまう自己意識が強く、自分を基準に物語を作ってしまう「観察」で感情と思考をそっと見つめる
ネガティブ思考が止まらない脳が勝手に“苦しみの物語”を生み出している呼吸や感覚に意識を向け、物語の暴走に気づく力を養う
過去や未来のことで頭がいっぱい起きてもいない不安を“リアルな現実”として認識してしまっている「今ここ」に戻る練習で、思考の渦から距離をとる

最後に|しおりと僕のラストメッセージ

僕:
なんか…「悩むのって仕方ないこと」って思ってたけど、
実はそのほとんどが**“自分の中で作り出してた”**って聞いて、ちょっと驚いたよ。
でも、不思議と気持ちは軽くなった気がする。

しおり:
うん、それが第一歩だと思う。
苦しみはゼロにはできないけど、**“振り回されなくなる練習”**はできる。
それが、「無」に近づくってことなんだよ。

僕:
完璧にならなくていいんだね。
呼吸に集中すること、湧いてきた感情を眺めること…
僕にもできそうだから、少しずつやってみるよ。

しおり:
うん、焦らなくて大丈夫。
悩みは、手放すためにあるんだよ。
またモヤモヤしたら、いつでもここに戻っておいで。

僕:
ありがとう、しおり。
また相談しにくるよ。


📘 紹介書籍

『無(最高の状態)』
著:鈴木祐
出版社:クロスメディア・パブリッシング

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