はじめに|与えることで“損ばかり”してきた、あなたへ。
僕:
正直さ、もう人に優しくするの疲れたよ。
職場でも、プライベートでも、与えてばっかりで報われない。
「なんで俺ばっかり…?」って、何度も思った。
しおり:
うん、その気持ち、よくわかるよ。
でもね、「与える人が損をする」っていうのは、本当のようでいて、実は“半分ウソ”かもしれない。
僕:
え、ウソ?でも現実は…報われてない人、多いじゃん。
しおり:
それはね、“与え方”を間違えてるだけかもしれないの。
今日は、心理学者アダム・グラントの『GIVE & TAKE』を通して、
“損しない優しさのコツ”を一緒に考えてみよう。
僕:
うまく「与える」ことができれば、ちゃんと報われるのかな…。
しおり:
うん。自分も、相手も、笑顔になれる与え方。
そんな“ギバー”を目指していこう。
ギバー・テイカー・マッチャー、あなたはどのタイプ?
僕:
しおり、最近なんか人間関係に疲れてるんだよね。
「この人にはよくしてあげたい」って思って動くけど、結局損して終わること多くてさ…。
しおり:
それってね、**人の“関わり方のタイプ”**を知らないと起こりやすいの。
アダム・グラントの『GIVE & TAKE』では、人を3つのタイプに分けてるんだ。
僕:
へぇ、3つもあるの?
しおり:
うん、まずはこの3つ——
- ギバー:与える人。見返りを求めず、人に与えるのが基本スタンス。
- テイカー:奪う人。人から得ることを優先し、与えるのは損だと感じる。
- マッチャー:バランス派。与えたらもらう、もらったら返す、という公平主義。
僕:
あー…自分はギバー寄りかも。けど、正直損してる気しかしないんだよなあ…。
しおり:
実はね、ギバーって一番成功する可能性もあるし、一番損する危険もあるんだよ。
僕:
え、どういうこと?どっちなの?
しおり:
このあとの話で詳しく説明するけど、“どう与えるか”が運命を分けるの。
自分のことをまったく考えない“自己犠牲型ギバー”は損をするし、
“他者志向型ギバー”はうまくいくの。
僕:
与え方にもタイプがあるんだ…知らなかった。
しおり:
うん。だからまずは、自分がどのタイプに近いのかを知ることから始めてみようね。
『ギバーが損をする』は、なぜ起きるのか
僕:
ギバーって、与える人でしょ?
でもそれで一番成功するって、なんかイメージ湧かないなぁ。
「お人好しがバカを見る」ってよく言うじゃん。
しおり:
実際ね、それ、半分は本当なんだよ。
アダム・グラントの調査でも、「成果が最も低いのはギバー」って結果があるの。
僕:
うわ、それ聞いたらやっぱ損してるじゃん…。
しおり:
うん。たとえばエンジニアの世界では、他人の仕事を手伝いすぎて自分の仕事が進まないギバーがいたり、
営業職だと、押し売りができないから売上が伸びないギバーもいるの。
僕:
あー、なんかわかる…。
俺も後輩のフォローばっかして、自分の業務たまりまくって怒られたことあるよ…。
しおり:
そう、それが自己犠牲型ギバーの典型的な失敗パターン。
「頼まれたら断れない」「全部自分が引き受けちゃう」って人は、
どんどん時間もエネルギーも吸い取られてしまうの。
僕:
うわ、自分のこと言われてる気がする…。
でも、やっぱ優しくしない方が得なのかなぁ…。
しおり:
そんなことないよ。実はこのデータ、続きがあってね。
**「最も成功している人も、ギバー」**だったんだ。
僕:
えっ、どういうこと!?一番損するのもギバーで、一番得するのもギバー?
しおり:
うん。つまり、ギバーは“損するギバー”と“得するギバー”に分かれるってこと。
カギは、「自分を犠牲にしてるかどうか」なんだ。
成功するギバーは“自己犠牲型”じゃない
僕:
ギバーには“損する人”と“成功する人”の両方がいる…。
じゃあ、成功するギバーって、どんな与え方してるの?
しおり:
それがね、**「自己犠牲型」じゃなくて「他者志向型」**なんだって。
僕:
他者志向…?
しおり:
簡単に言うと、**「相手のためになることをしつつ、自分の利益もちゃんと考える」**ってこと。
“相手を勝たせながら、自分も負けない”与え方をしてるの。
僕:
なるほど…。たとえば?
しおり:
たとえば「人に教えることで、自分の理解も深まる」っていうのもそう。
自分の時間を使って相手を助けるけど、自分にもちゃんと学びがある。
僕:
ああ、そういうのは気持ちも前向きになれるかも。
しおり:
あとね、無理に断らずに与えるんじゃなくて、“できる範囲で与える”のも大事。
自分の心や体がしんどいときまで全部引き受けるのは、長続きしないから。
僕:
うっ…耳が痛い。なんでも「やります」って言いがちなんだよな…。
しおり:
それ、すごく素敵だけど、「続けられない優しさ」は、結局どこかで破綻しちゃうの。
だからまずは、自分の余裕を守りながら“人のためになれる形”を探すのがいいよ。
僕:
そっか…。自分をすり減らすことだけが「与える」じゃないんだね。
しおり:
そう。“自分を大事にしながら与える”ことこそ、成功するギバーの秘訣なんだよ。
周りを味方にする、与え方の技術
僕:
なるほどなぁ…「自分を大事にしながら与える」って大事なんだな。
でも実際、どうやって周りとうまく“Win-Win”の関係を作っていけばいいの?
しおり:
いい質問だね!実はね、成功するギバーには共通点があるの。
それは――**「人が自然とついてくる存在」**であること。
僕:
人が…ついてくる?
しおり:
うん。ギバーの中でも、自分も相手も得をする仕組みをつくれる人って、
職場でも学校でも、自然と応援されるんだよ。
その人が動けば、周りも「協力したい」って思う。
僕:
なるほど…。そういう人って、頼れるし好かれてるよね。
しおり:
そう。たとえば、自分ができることを惜しまずに差し出すけど、見返りを強く求めない。
でも周りはちゃんと見てるから、「あの人のために動こう」って思ってくれる。
僕:
それって、無理して頑張らなくても…信頼が積み重なっていくってことか。
しおり:
そうそう。それがまさに“レバレッジの効いた与え方”だね。
「一人で頑張るんじゃなくて、チームで成果を出す」タイプのギバーは、
まわりからも自然と支えられて、結果的に自分も成功していくの。
僕:
それ、めっちゃ理想やな…。僕もそんなギバーになりたい。
しおり:
うん、大丈夫。無理に誰かを助ける必要はないよ。
**「この人と一緒にいると、ちょっと気持ちが明るくなるな」**って思ってもらえるような、
そんな存在を目指せばいいの。
テイカーに搾取されないための見抜き方と対処法
僕:
ここまで聞くと「ギバーって素敵だな」って思えるけど…
やっぱ怖いのは、テイカーにいいように使われることなんだよなぁ。
しおり:
うん、それはすごく大事な視点だね。
実際、テイカーに与えすぎると消耗するだけで終わっちゃうこともある。
僕:
どうすれば見抜けるの?
外ではめっちゃ良い人に見えても、裏で搾取してくる人とかいるやん…。
しおり:
そこで使えるのが、「他人への態度を見る」方法だよ。
たとえばね、店員さんへの態度を見てみて。
僕:
あー…急に横柄になる人とかいるね。
しおり:
うん。テイカーはね、「見返りがない相手」には冷たくなる傾向があるの。
あと、自分をよく見せたがるSNSの使い方や、
都合が悪くなると距離を取る対応も特徴のひとつ。
僕:
なるほど…その人の“周囲との関わり方”にヒントがあるわけか。
しおり:
うん。そして大事なのは、テイカーと関わるときは「マッチャーになる」こと。
僕:
ギバーじゃダメなの?
しおり:
相手が“奪う気満々”のときに与え続けるのは危険だからね。
**「与えたら返ってくるまで待つ」「貸したら返してもらう」**ってバランス感覚が必要。
僕:
ああ、それがマッチャーか。与えすぎず、奪い返しもせずってやつね。
しおり:
そう。そして**3回に1回くらいは、ギバーに戻って“もう一度チャンスをあげる”**ことも大切だよ。
それで相手が少しでも変わったら、また信頼を築けるかもしれない。
僕:
なるほどなあ…ギバーって、ただ優しいだけじゃなくて、観察力と判断力も必要なんだね。
しおり:
うん、まさにその通り。
**「誰に、どう与えるか」**を見極められる人が、本当に強いギバーなんだよ。
📝まとめ|損しない“与え方”のポイント
問題 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
与えてばかりで疲れる | 自己犠牲型ギバーになっている | 自分も満たせる「他者志向型ギバー」へ |
テイカーに利用されてしまう | 相手を見極めずギブしている | テイカーにはマッチャーとして対応 |
優しさが報われないと感じる | Win-Winの関係を築けていない | 自分も得られる形で与える |
周りに応援されず孤立してしまう | 与えても信頼関係が築けていない | 仲間と「一緒に得をする」視点を持つ |
最後に|“与える”ことで、人は人に信頼される
しおり:
人に優しくするのって、ときどき怖くなるよね。
裏切られたり、搾取されたり、うまくいかないと「もう与えたくない」って思っちゃう。
でもね、『GIVE & TAKE』が教えてくれたのは、
**「正しく与えれば、人生はもっと豊かになる」**ってことなんだ。
僕:
うん。ギバーってただのお人好しじゃなくて、
**“人を信じつつ、自分もちゃんと守れる人”**なんだなって思えたよ。
しおり:
そうだね。優しさも、信頼も、育てるには時間がかかるけど、
与えることをやめなければ、ちゃんと人はついてくる。
そして、あなたの周りにはきっと“本物の仲間”が残るよ。
僕:
ありがとう、しおり。
ちょっとだけ、また誰かのために動いてみようかな。
しおり:
その気持ちが、きっと未来を変えていくはず。
また迷ったら、いつでも来てね。
📘 紹介書籍
『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』
著:アダム・グラント/三笠書房
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