1. 「褒めるより大切なこと」って何?|人間関係がこじれる意外な原因
「褒めればうまくいく」は本当?
僕:
「人間関係を良くするには“褒める”ことが大事ってよく聞くけど…
最近、褒めてもなんだか空回りしてる気がするんだよね。」
しおり:
「その感覚、間違ってないわ。実は“褒める”よりもっと大切なことがあるの。」
僕:
「え、何それ?褒めるより大切なことって…?」
人間関係がこじれる最大の原因は「否定」
しおり:
「それはね、**“否定しないこと”**なの。
林健太郎さんの本『否定しない習慣』でも、**人間関係がこじれる一番の原因は“否定”**だって書かれているの。」
僕:
「でも、僕は否定なんてしてないつもりだけどな…。
それでも相手を傷つけちゃうことがあるの?」
しおり:
「そうなのよ。たとえ**“正しいこと”や“相手のためのアドバイス”だったとしても、
相手が“否定された”と感じたら、その瞬間に心のシャッターが閉じてしまうの。
褒めるより先に、まずは“否定しない”ことが大切**なのよ」
日常の具体例|こんなセリフが否定になってるかも?
職場でのケース
同僚:「この資料、ちょっと違うかもしれないけど作ってみたんだ。」
自分:「いや、全然違うよ。やり直して。」
→ つい口にしてしまうこの“いや”から始まる否定。
相手は「努力を認めてもらえなかった」と感じ、やる気を失いやすくなります。
友人との会話
友人:「最近、副業でYouTube始めてみたんだ!」
自分:「えー、今からじゃ遅いんじゃない?」
→ 本人は応援してほしい気持ちだったのに、未来を否定する言葉が刺さってしまう…。
家族とのやり取り
子ども:「今日、学校でね…」
親:「そんなことより宿題やったの?」
→ 話をさえぎるだけでも「自分は大事にされていない」と感じることがあります。
褒めても響かないのは“否定が先にある”から
僕:
「なるほど…褒めても効果が出ないときがあるのは、
その前に“否定”が入っちゃってるからかも。」
しおり:
「そういうこと。
『否定しない習慣』は、褒めるよりもまず“相手の存在や言葉を受け止めること”を意識する大切さを教えてくれているの。」
2. 相手を否定してしまう3つのパターンとその心理
無意識にやってしまう「3つの否定」
僕:
「“否定しない”ことが大切なのはわかったけど…
僕、自分では否定してるつもりないんだよな。」
しおり:
「そう感じる人は多いの。でもね、私たちは無意識のうちに否定してしまうことが多いのよ。
『否定しない習慣』では、次の3つのパターンを紹介しているわ。」
1. 事実だから否定してもいいと思い込んでいる
僕:
「事実を言ってるだけなのに、それも否定になるの?」
しおり:
「そうなの。例えば…」
職場でのケース
後輩:「35歳までに結婚したいんです!」
自分:「35歳の男性が5年以内に結婚できる確率は5.6%しかないんだよ。無理じゃない?」
しおり:
「この発言、統計データに基づいた“事実”よね。でも、本人は希望を打ち砕かれたと感じるわ。」
2. 自分が正しいと思い込んでいる
僕:
「これもやっちゃってるかも…。
自分が正しいと思うと、相手の意見が間違って見えるんだよな。」
しおり:
「その通り。“自分は正しい=相手は間違っている”という思い込みが否定の始まりなの。
例えば…」
友人との会話
友人:「実は風俗で働いてるんだ。」
自分:「そんなのやめたほうがいいよ!危ないし将来性もないじゃん。」
しおり:
「善意でアドバイスしているつもりでも、相手の価値観や背景を否定していることになるわ。」
3. 相手に過剰な期待をしている
僕:
「これは…部下や後輩に対してよくやってる気がする。」
しおり:
「そう、期待が大きいほど、できなかったときの否定も強くなるの。
例えば…」
上司と部下のやり取り
上司:「このくらいできると思ってたのに…手を抜いてる?」
部下:「……。」
しおり:
「相手は決して手を抜いてるわけじゃないかもしれないのに、期待とのギャップが否定に変わってしまうのよ。」
「正しいこと」が相手を遠ざける理由
僕:
「…こうして聞くと、僕もやってるなぁ。
正しいこと言ってるつもりでも、結局は否定になってたのか。」
しおり:
「そう。人間関係における問題の69%には、明確な答えがないって言われているの。
だからこそ、“正しさ”よりも“受け止める姿勢”が大切なのよ。」
3. 否定しないことが人間関係をラクにする理由|心理的安全性の力
否定しないと人は安心する
僕:
「“否定しない”ことが大事なのは分かったけど、
本当にそんなに人間関係が変わるの?」
しおり:
「変わるのよ。否定されない安心感があると、人は本音を言えるようになるの。
この“安心感”を心理学では心理的安全性って呼ぶの。」
心理的安全性が高いチームほど成果が出る
しおり:
「Googleの研究でも、心理的安全性が高いチームは生産性が高いことがわかっているの。」
僕:
「心理的安全性って、チームの雰囲気のこと?」
しおり:
「簡単に言えば、“何を言っても大丈夫”と感じられる空気ね。
逆に“また否定されるかも…”と感じると、
人は発言を控えたり、チャレンジをやめてしまうの。」
否定が続くと人は心を閉ざす
僕:
「確かに、頭ごなしに否定される上司っていると、
仕事の報告もしづらいし相談もしたくなくなるよなぁ。」
しおり:
「そうなの。
否定が続くと、人は萎縮してしまう。
問題があっても隠そうとしたり、チームを去ってしまうこともあるの。」
しおり:
「これは仕事だけじゃなくて、友人や家族関係でも同じよ。
“どうせ否定される”と思うと、
本音を話すのが嫌になってしまうの。」
否定しないことが信頼につながる
僕:
「じゃあ、否定しないことで信頼が生まれるってこと?」
しおり:
「そう。
否定しない=相手の考えや存在をまず受け止めるってことだから、
安心感や信頼感が高まるのよ。」
僕:
「なるほど…褒めることよりも大事なのは“安心して話せる”ってことなんだな。」
4. 今日からできる!「否定しない習慣」を作る実践テクニック
否定しそうになったら「〜かもしれない」をつける
僕:
「否定しないのが大事なのはわかったけど…
正直、会話の中で“否定しない”って難しいんだよな。」
しおり:
「そんなときはね、頭の中で“〜かもしれない”をつけるのがおすすめよ。」
僕:
「“かもしれない”…?」
しおり:
「例えば、“この意見は間違ってる”と思ったときに
“自分が間違っているかもしれない”って考えるの。
そうすると視野が広がって、相手を受け入れやすくなるのよ。」
会話はまず「承認」から入る
僕:
「でも、相手の意見に納得できないときはどうすればいい?」
しおり:
「そんなときこそ、まず承認から入るのよ。」
承認の具体例
- 「そうなんですね」
- 「なるほど」
- 相手の言葉をそのまま繰り返す
しおり:
「相手が**“自分の気持ちを分かってくれた”と感じるだけで、安心して話せる**の。」
態度でも否定しない
僕:
「言葉だけじゃなく、態度も大事なんだよね?」
しおり:
「その通り。
目を合わせない・スマホを見ながら話す・腕を組む…
こういう態度は“否定”として伝わってしまうわ。」
否定しない態度のポイント
- 相手の目を適度に見る(じっと見つめすぎない)
- 笑顔で話す
- 相手の話を遮らない
しおり:
「たったこれだけでも、“話を聞いてもらえてる”という安心感を与えられるの。」
さりげなく褒める「さすが」の魔法
僕:
「否定しないだけじゃなくて、ちょっと褒められたらもっと嬉しいよね。」
しおり:
「そうね。でも大げさに褒めるとお世辞っぽくなっちゃうから、
“さすが”って言葉を使うのがおすすめ。」
さすがの使い方
- 「そこに気づくとはさすがだね」
- 「いつも手際がいいよね、さすが」
しおり:
「“さすが”は自然に言えるし、相手を軽く承認できる魔法の言葉なのよ。」
5. 会話と態度のポイント|承認・アイコンタクト・“さすが”の魔法
会話の始まりは「承認」から
僕:
「否定しないって、結局どうやって会話すればいいんだろう…?」
しおり:
「まずはね、会話を“承認”から始めることが大切なの。
相手が話してきたら、否定も肯定もせずに受け止めるのよ。」
承認のフレーズ例
- 「そうなんですね」
- 「なるほど」
- 相手の言葉をそのまま繰り返す
しおり:
「相手は**“自分の話をちゃんと聞いてくれた”と感じて、安心する**わ。」
アイコンタクトと笑顔で態度も伝わる
僕:
「言葉だけじゃなくて、態度も大事なんだよね?」
しおり:
「そう、人は言葉よりも態度の方が印象に残りやすいの。
目を合わせない、スマホを見ながら話す、腕を組む…
こういう態度は“否定”として伝わってしまうのよ。」
否定しない態度のポイント
- 相手の目を見る(じっと見つめすぎない)
- 笑顔で相手の話を聞く
- 相手の話を遮らない
しおり:
「これを意識するだけで、“話しやすい人”だと感じてもらえるの。」
さりげなく褒める「さすが」の魔法
僕:
「褒めるのって難しいよね。お世辞っぽくなったら逆効果だし。」
しおり:
「そんなときに使えるのが**“さすが”**って言葉よ。」
「さすが」の使い方例
- 「ここに気づくとは、さすがだね!」
- 「仕事が早いよね、さすがだなぁ」
しおり:
「“さすが”は軽く相手を承認できる言葉だから、お世辞感が出ないの。
しかも会話の流れの中で自然に使えるからおすすめよ。」
会話も態度も「安心感」がカギ
僕:
「承認・アイコンタクト・“さすが”の3つを意識すれば、
否定しない会話ができそうだな。」
しおり:
「そうなの。相手が安心できる空気を作ることが、関係を深める一番の近道よ。」
6. つい否定してしまったときのリカバリー方法
否定してしまった!その瞬間どうする?
僕:
「ここまで“否定しない”を意識してきたけど、
正直、絶対に1回は否定しちゃうことあるよね。」
しおり:
「そうね。完璧を目指すと疲れちゃうから、“否定しちゃった後のリカバリー”を覚えることが大事よ。」
魔法のフレーズは「否定してるように聞こえたらごめんね」
しおり:
「否定しちゃったかも…と思ったら、すぐにこの一言を添えるの。」
魔法のフレーズ
「否定しているように聞こえたらごめんね」
僕:
「たったそれだけでいいの?」
しおり:
「そうよ。その一言で“あ、悪気はなかったんだ”と相手が感じてくれるの。」
会話例:仕事でのリカバリー
部下:「資料、ちょっと試しに作ってみました!」
自分:「いや、全然違うよ。やり直して。」
(しまった…言い方がきつかった)
自分:「ごめん、否定しているように聞こえたらごめんね。
せっかく作ってくれたのに急に言いすぎた。ここをこう直してほしいんだ。」
しおり:
「こう言い直すだけで、“全否定された”という印象が和らぐわ。」
会話例:友人・家族でのリカバリー
友人:「今度、趣味でカフェを開こうと思ってるんだ!」
自分:「えー、無理じゃない?資金とか大丈夫?」
(あ…否定しちゃった)
自分:「ごめん、否定してるように聞こえたらごめん。
本当は応援してるんだよ。どんなカフェにするのか詳しく聞かせて!」
リカバリーのコツは“その場で素直に”
僕:
「これならできそうだな。でも謝るのってちょっと恥ずかしいかも…。」
しおり:
「そう感じるかもしれないけど、その場ですぐに素直に言う方が信頼につながるの。
むしろ言えない方が、“自分を正当化してる”と思われやすいのよ。」
7. まとめ|否定しないだけで人間関係は変わる
しおり:
「ねえ、今回の話で一番大事なのは、**“褒めるよりもまず否定しない”**ってこと。
相手を否定しないことで、心理的安全性が生まれて、関係はグッとラクになるの。」
僕:
「そうだね…。正論を言いたくなることもあるけど、
まずは“受け止める”のが大事なんだな。」
しおり:
「そうそう。“〜かもしれない”を頭につけるだけでも、
相手の見え方が変わってくるのよ。
それに“否定してるように聞こえたらごめんね”って、
素直に言える人ってすごく信頼されるんだから。」
僕:
「よし、今日から意識してみるよ。
相手が安心できる人になりたいから。」
しおり:
「うん、きっとできるよ。
“否定しない習慣”を身につけたら、人間関係はもっとラクになるから。
まずはひとつ、試してみてね。」
否定しない習慣のポイントまとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
1. 否定しない | 褒めるよりもまず“否定しない”ことを意識する |
2. 否定の原因 | ①事実だから否定していいと思う ②自分が正しいと思う ③過剰な期待 |
3. 心理的安全性 | 否定しないことで安心感が生まれ、本音が出やすくなる |
4. 実践テクニック | 「〜かもしれない」をつける・承認から入る・態度で否定しない・「さすが」の魔法 |
5. リカバリー | 否定してしまったら「否定しているように聞こえたらごめんね」と素直に伝える |
紹介書籍
📘 『否定しない習慣』 林 健太郎(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
人間関係をラクにする「否定しない」という習慣の大切さを、豊富な具体例と共に解説した一冊です。
- 相手を否定しないことが心理的安全性を生む
- 無意識に否定してしまう3つのパターン
- 今日からできる「否定しない会話」の実践テクニック
この記事で紹介した内容をさらに深く理解したい方は、ぜひ手に取ってみてください。
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