はじめに:その不安、見て見ぬふりしてない?
僕: ねぇ、しおり。最近ふと思ったんだけどさ……このままずっと今の会社にいて、ほんとに大丈夫なのかな。
しおり: それ、きっと多くの人が心のどこかで感じている不安よ。そんな時にピッタリの一冊があるわ。
僕: え、本があるの?
しおり: うん。今日紹介するのは、北野唯我さんの『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』。
僕: まさに僕のことだ……。
しおり: この本はね、転職をすぐにすべきかどうかよりも、「自分の市場価値を高めて、いつでも動ける状態を作っておこう」という考え方を教えてくれるの。
僕: 市場価値……なんか聞いたことはあるけど、どうやって高めたらいいのかわかんないなぁ。
しおり: 大丈夫。今日はこの本を一緒に読み解きながら、“転職をしなくても後悔しない働き方”のヒントを見つけていこうね。
なぜ「市場価値」がすべてなのか?
僕: 正直なところ、今の会社に不満があるわけじゃないんだけど……このまま何年もここで働き続けて大丈夫なのか、不安になる時があるんだ。
しおり: うん、それはすごく自然な感覚よ。実は今の時代、「いい会社に入る」よりも、「どこでも通用する自分になる」ことの方がずっと大事なの。
僕: どうして?昔は“安定した会社に入るのが勝ち組”って言われてたのに。
しおり: 昔はね。でも今は終身雇用は崩壊して、企業の寿命もどんどん短くなってるの。例えば30年前にあった有名企業のうち、今も元気な会社ってどれくらい残ってると思う?
僕: ……たしかに、名前すら聞かなくなった会社も多いかも。
しおり: だからこそ、たとえ会社がなくなっても「どこでも通用するスキルや経験を持ってる人」がこれからの時代の強者なのよ。それが、市場価値の高い人ってこと。
僕: 会社じゃなくて、自分自身が商品みたいなイメージだね。
しおり: その通り。市場価値っていうのは、「今の会社を離れても、他の企業があなたを欲しがるかどうか」。つまり、“外の世界から見たあなたの価値”のこと。
僕: なるほど……。社内評価じゃなくて、社外評価なんだ。
しおり: うん。社内での評価が高くても、会社がなくなったらゼロになる。けど、市場価値を持っていれば、またどこでもチャンスを掴めるわ。
僕: つまり、転職する・しないに関係なく、「転職できる状態」をつくっておくことが保険にもなるってことか。
しおり: まさにそれ。転職を“逃げ”じゃなく“備え”として考える時代なのよ。
市場価値を高める3つのポイント
僕: 市場価値が大事っていうのは分かってきたけど、じゃあどうやって高めればいいの?
しおり: ポイントはね、シンプルにこの3つ。
- どこでも使える「専門スキル」を身につけること
- 成果として語れる「経験」を積むこと
- 信頼される「コミュニケーション力」を磨くこと
僕: 専門スキルって、たとえば?
しおり: プログラミング・Webマーケ・会計・ライティングあたりが代表的かな。他社でも通用する“持ち運べるスキル”が理想よ。
僕: 確かに、社内だけのルールにしか通じない仕事って、外じゃ評価されにくいよね。
しおり: そうそう。あとは、経験も大事。資格や年数よりも、「どんな成果を出したか」「どんな困難を乗り越えたか」っていう具体的なストーリーが武器になるの。
僕: あー……何をやったかまでは話せるけど、どう成果に結びついたかは曖昧かも。
しおり: だから日々の仕事でも「自分がどう貢献できたか」を意識しておくと、あとで強い経験談になるわよ。
僕: で、最後がコミュニケーション力……か。正直これ、ちょっと苦手かも。
しおり: 無理におしゃべり上手になる必要はないの。相手の立場を想像して、きちんと伝えたり、相談したり、信頼を築いていく。そういう基本の積み重ねが一番強いの。
僕: なんか、ちょっとホッとした。
しおり: あとね、成長企業で働いた「実績」もすごく効くわよ。人手が足りない分、早いうちからいろんな経験を積めるから。
僕: なるほど。スキルを磨く環境としても、成長企業っていいんだね。
しおり: そう。結局ね、「何ができる人か」「どんな経験をしてきたか」「どんな人と一緒に働きたいか」。この3つに全部応えられる人が、市場価値の高い人なのよ。
どんな会社で働くと成長できるか?
僕: スキルとか経験を積むのが大事なのはわかったけど、それってどんな会社で働けば手に入るんだろう?
しおり: カギになるのは、「成長している会社」に身を置くこと。そこで働いた経験そのものが、あなたの市場価値を引き上げてくれるのよ。
僕: 成長してる会社って、たとえばどういうところ?
しおり: よくあるのは、新しい技術・サービスを扱っていて、事業拡大中の企業。たとえばIT、SaaS、Webマーケ、介護・福祉、再生可能エネルギーなどね。
僕: なんとなくベンチャーっぽい雰囲気があるなぁ。
しおり: うん、ベンチャーやスタートアップは特にそう。まだ組織が整ってない分、若手でも裁量のある仕事を任されやすいの。だから、経験値が爆速で貯まるのよ。
僕: でも逆に、落ち着いた大手の方が安心な気もして……
しおり: もちろん、大手にも良さはある。でも“成長”という面では、変化が激しい環境のほうが伸びしろは大きいの。
僕: なるほど。ブランドで選ぶんじゃなくて、“経験させてもらえる環境”かどうかを重視するべきなんだね。
しおり: その通り。「どの会社か」よりも「どんな仕事をさせてもらえるか」。これが転職にも将来にも効いてくるのよ。
成長業界の見極め方
僕: しおり、成長してる会社がいいっていうけど……それってどうやって見つければいいの?
しおり: 一番わかりやすいのは、「求人の増え方」や「競合他社の動き」をチェックすることね。
僕: 求人?あ、転職サイトに出てるやつ?
しおり: そう。転職サイトで特定のキーワードを検索してみて、「求人件数が多い」とか「毎月増えてる」業界は、今まさに伸びてる可能性が高いわ。
僕: たとえばどんなキーワード?
しおり: 「クラウド」「SaaS」「サブスク」「再エネ」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とか。これからの時代を作る業界ね。
僕: なるほど……逆に、減ってる業界もある?
しおり: もちろん。たとえば成熟しきった業界(出版、新聞、固定電話、ガソリン車など)は、求人も減っていて、先細りの可能性があるわ。
僕: 成長してる業界って、若手でも入りやすいの?
しおり: 実はそこが大きなポイント。人手不足でスピード重視の会社が多いから、「やる気のある人なら未経験でも採用」されやすいの。しかも入った瞬間から経験を積ませてもらえることも多いのよ。
僕: 成長業界って、入ってからの成長チャンスもセットなんだね。
しおり: そのとおり。伸びている業界に乗ること自体が、経験とスキルを加速させる一手なの。
「やりたいこと」よりも、小さな嘘をつかずに済む仕事を選ぼう
僕: しおり、最近よく「やりたいことを仕事にしよう」って言葉を聞くけど……正直、僕にはよくわからなくて。
しおり: それで大丈夫よ。実はね、“やりたいことがない”人の方が多数派なの。無理に見つけようとすると、かえって苦しくなるのよ。
僕: ほっ……ちょっと安心した。でも、じゃあ仕事って何を基準に選べばいいの?
しおり: この本ではね、「自分に小さな嘘をつかずに済む仕事」を選ぶべきだって書いてあるの。
僕: 小さな嘘?
しおり: たとえば、「本当はしょぼいと思ってる商品を、すごいって言って売る」みたいなこと。そういう仕事を続けてると、少しずつ自分を嫌いになっていくの。
僕: ……あー、それ、なんか心当たりあるかも。お客さんに説明しながら「本音では納得してないな」って思ったことある。
しおり: そういう小さな違和感を我慢し続けると、自己肯定感が下がっていって、やがて仕事そのものが嫌いになってしまうの。
僕: 好きな仕事じゃなくてもいいけど、「嫌いにならない仕事」って大事なんだね。
しおり: うん。やりがいよりも、“自分を偽らずにいられるか”が本当に大切な基準なのよ。
僕: 僕も、少しずつだけど「これは自分の言葉で胸張って言えるな」って思える仕事を選んでみたいな。
しおり: それができたら、毎日がだいぶ楽になるよ。やりたいことは、あとからついてくることも多いから。
自分にとって“ちょうどいい難易度”の仕事を選ぼう
僕: 仕事って、やっぱり楽しいほうがいいよね。でも正直、今の仕事は「簡単すぎて退屈」か「難しすぎてつらい」のどっちかなんだよなぁ……。
しおり: それ、すごく大事な感覚よ。実はね、仕事の“楽しさ”は、**自分にとっての“難易度”**が関係しているの。
僕: 難易度って、ゲームのレベルみたいな?
しおり: まさにそう。レベル1の主人公がいきなりラスボスと戦っても無理でしょ?逆に、レベル99で雑魚キャラ倒しても面白くない。それと同じで、「ちょっと背伸びすれば届く」くらいの仕事が一番面白くて成長できるの。
僕: それ、めっちゃわかる!今の僕は、ぬるま湯に浸かってる感じかも……。
しおり: ぬるま湯はラクだけど、成長しないし飽きやすい。逆に、常にプレッシャーだらけの環境も、メンタルやられちゃう。
僕: じゃあ、自分に合った“ほどよい負荷”のある仕事を見つけるのがベストってことか。
しおり: そう。しかもそれは、自分の成長とともに変わっていくから、**「いまの自分にちょうどいいチャレンジ」**を探し続けることが大切なのよ。
僕: 楽すぎず、苦しすぎず。ギリギリ頑張れる仕事が、結局いちばん楽しいのかもね。
しおり: うん。それが“市場価値”を育てていくベースにもなるのよ。
まとめ|転職は“武器”になる
悩み・不安 | 背景にある原因 | 取るべき行動 |
---|---|---|
今の会社にいる不安 | 終身雇用の崩壊/会社寿命の短縮 | 市場価値を高める意識を持つ |
スキル・実績がない | 社内評価だけに依存していた | 外でも通用する専門性と経験を積む |
やりたいことがない | 無理に見つけようとしている | 自分に嘘をつかずに働ける環境を探す |
仕事が楽しくない | 簡単すぎるor難しすぎる | ちょうどいい難易度の仕事を選 |
ラストメッセージ:転職しなくても、転職できる力を
僕: しおり、話を聞いてて思ったんだけど……転職って、必ずしも“辞めるための行動”じゃないんだね。
しおり: そうなの。転職って、「今の会社を飛び出す決意」じゃなくて、「どこでも生きていける力を持つ準備」なのよ。
僕: たしかに。転職できる力があれば、今の会社で働き続けるとしても、自分に自信が持てる気がする。
しおり: 自信がある人ほど、無理して転職しないのよ。逆に、準備がない人ほど「逃げ」みたいな転職をしちゃうこともあるから。
僕: だからこそ、“転職できる自分”でいることが、最強の安心材料なんだね。
しおり: うん。スキル、実績、信頼関係。それをちゃんと育てていけば、どこにいても、自分らしく働けるようになるわ。
僕: よし……今日から少しずつ、自分の市場価値を育ててみるよ。焦らず、地に足つけて。
しおり: その一歩が、きっと未来を変えるわ。またいつでも、図書館で待ってるからね📘✨
📘紹介した本はこちら
『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』
北野唯我 著|ダイヤモンド社
「今すぐ転職するかどうか」ではなく、“転職できる力”を持っておくことが大事だと教えてくれる一冊。
転職に悩む人だけでなく、「このままでいいのか」と感じているすべてのビジネスパーソンに読んでほしい本です。
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