はじめに|「伝えてるつもりなのに、伝わらない…」
僕:最近さ…ちゃんと話してるつもりなのに、「結局何が言いたいの?」って言われることがあって。
しおり:ああ、それ、すごく多い悩みだよ。特に仕事の場面では、伝え方ひとつで印象が大きく変わるしね。
僕:たしかに…。言いたいことはあるのに、うまく届かないっていうか…。
しおり:それって、「話し方の準備」が足りてないサインかもしれないよ。
僕:準備?話し方に?
しおり:うん。今日紹介するのは、**千葉佳織さんの『話し方の戦略』という本。
ビジネスで“伝わる人”になるための戦略が、ぎゅっと詰まってるんだ。
僕:戦略って言われると、なんかプロっぽいな…!
しおり:でもね、内容はシンプルで実践的。特別なスキルじゃなくて、「目的を決める」「相手を観察する」「一言で伝える」**といった、すぐに使えるコツばかりなの。
僕:それ、今すぐ知りたい!明日も会議あるし…!
しおり:ふふ、じゃあさっそく、一緒に読み解いていこうか📘
話す前に「目的」を明確にする
僕:そもそも「話す目的」って、そんなに意識したことなかったかも…。
しおり:うん、それが普通かもしれないね。でもね、“話す前に目的を決める”って、実は一番大事なポイントなんだよ。
僕:でもさ、目的って言われても…「とりあえず伝える」じゃダメなの?
しおり:たとえば、君が上司に報告するとき。「情報を伝える」のか、「提案を通したい」のか、「自分の評価を上げたい」のかによって、話し方はぜんぜん変わってくるでしょ?
僕:あ、たしかに…。何をゴールにしてるかで、話す順番も内容も変わるか。
しおり:「目的を持たない話し方」は、雑談ならいいけど、ビジネスでは損をしやすいの。だからこそ、“何のために話すのか”を先に決めておくことが、伝わる話し方の第一歩なんだよ。
僕:なるほど…。話す前に、ちょっと立ち止まって考えるクセ、つけてみようかな。
相手を分析する
僕:伝える目的が決まったとしても、まだうまく話せる気がしないなぁ…。
しおり:それはきっと、**“誰に話すのか”を意識してないからかも。
僕:誰に、か…。いや、たしかに「上司」と「同期」と「取引先」じゃ、言い方って違う気はするけど…。
しおり:そうそう!たとえば上司に話すときは、「背景→結論→次のアクション」**みたいに整理して伝えるとスムーズだけど、同僚にはもっとざっくばらんでもいいよね。
僕:ああ、思い当たる。前に先輩に報告したら、「で、結論は?」って言われたことある…!
しおり:それは“聞き手の立場”を意識できてなかったサインかもね。
僕:相手が何を求めてるか、どこまで知識があるか…ちゃんと考えてから話すってことか。
しおり:うん。ビジネスの場では、「話す内容」よりも、「誰にどう伝えるか」のほうが重要なこともあるよ。
僕:なるほど…。話す前に、相手の“地図”を思い浮かべるようにしてみるよ。
「全部伝えよう」と思わない
僕:実はさ、話してると「あれも言わなきゃ」「これも伝えなきゃ」ってなって、気づいたら話が長くなっちゃうんだよね…。
しおり:うん、それもよくある悩みだよ。でもね、“全部伝えよう”とするほど、相手には何も残らなくなるんだ。
僕:え…伝えてるのに、残らないってどういうこと?
しおり:人って、聞いた話のほとんどをすぐ忘れちゃうの。だからこそ、「何を一番伝えたいか」を1つに絞るのが大切なんだよ。
僕:あ〜、たしかに会議とかでも「結局、何が言いたかったんだろう…」ってなる話、多いかも。
しおり:「今日はこれだけ覚えて帰ってください」って一言があるだけで、相手の記憶にぐっと残りやすくなるよ。
僕:なるほど…。“全部”じゃなくて、“一番”を選ぶ勇気ってことか。
しおり:うん、情報量より印象。まずは一つ、伝えたいことを決めて話す練習をしてみてね🌱
一言でまとめるクセをつける
僕:しおり、さっきの「伝えたいことを1つに絞る」って話、けっこう衝撃だったよ。
しおり:ふふ、でもね、それだけじゃなくて、**「一言でまとめる力」**もすごく大事なんだよ。
僕:「一言で」って、たとえば?
しおり:たとえばプレゼンの冒頭で、「今日は“時間のムダを3割削減する方法”をお伝えします」って言えると、聞く側は一気に集中できるの。
僕:あ〜!それって、テレビのタイトルみたいな感じ?最初にグッと掴まれるやつ。
しおり:まさにそれ。人は話の最初に“何の話か”がわからないと、ついていけなくなるの。
僕:僕、たぶん最初にダラダラ話し始めちゃってるな…反省…。
しおり:大丈夫、練習で変わるよ。まずは「で、結局なにが言いたいの?」って自分に問いかけてみて。
僕:自問自答か…。それでスッキリ一言が出せるようになったら、話すのも聞くのもラクになりそう。
しおり:うん、伝えるって、シンプルにすることから始まるんだよ📘
ストーリーで伝える
僕:一言でまとめるって、たしかにスッキリするけど…なんか冷たい印象になっちゃわない?
しおり:うん、それは鋭いね。論理的にまとめるだけじゃ、相手の“心”までは動かないの。
僕:じゃあどうすればいいんだろ…。
しおり:そこで大事なのが**「ストーリーで伝えること」**なんだよ。
僕:ストーリーって、物語?
しおり:そう。たとえば自分の経験談や、お客さんのエピソード、失敗からの学びなんかを交えて話すと、共感や感情に訴えかけられるんだ。
僕:あ〜たしかに。プレゼンでも「昔こんなことがあって…」って話されると、つい引き込まれるかも。
しおり:人はストーリーに弱い生き物だからね。スタンフォード大学の研究でも、「事実だけを伝えるよりも、ストーリーで伝えたほうが22倍記憶に残る」って言われてるんだよ。
僕:に、22倍!?そりゃもう、使わなきゃ損だな…。
しおり:うん。完璧な成功体験じゃなくていいから、ちょっとしたエピソードを添えるだけでも、伝わり方がまるで違うよ📖✨
自己開示のパワー
僕:でもさ、ストーリーっていっても、あんまり自分のこと話すのってちょっと恥ずかしいんだよね…。
しおり:わかるよ。でも実はね、そういう“ちょっと恥ずかしい話”こそが、人の心に届くことが多いんだよ。
僕:え…どういうこと?
しおり:つまり、「自己開示」があると、聞き手との距離がグッと近づくの。
たとえば「最初はプレゼンが苦手だったんです」って話すと、「あ、自分と似てるな」って思ってもらいやすいんだ。
僕:なるほど…完璧な人の話って、ちょっと他人事に感じるもんな。
しおり:そうそう。むしろ「うまくいかなかった経験」や「悩んだ過去」を正直に話す方が、共感も信頼も生まれやすいの。
僕:でもさ、落ち込んでた話ばっかりだと、ちょっと暗くならない?
しおり:いいところに気づいたね。それをどう乗り越えたのか、どんな学びがあったのかを添えれば、前向きなストーリーになるんだよ。
僕:うわ…たしかに、それなら応援したくなるかも。
しおり:うん。弱みを語れる人は、強さも持ってるってこと。自分の変化を語れると、言葉に深みが出てくるよ🌱
強みは「運」や「応援」とセットで語る
僕:自己開示で距離が縮まるって話、すごく納得したよ。でも逆に、「自分の強み」を話すのって難しくない?
しおり:うん、強みを話すときって、ちょっと気をつけないと“自慢っぽく”聞こえちゃうこともあるからね。
僕:そうそう、それが怖くてつい控えめになっちゃうんだよな…。
しおり:そんなときはね、「運」や「周囲の応援」と一緒に語るのがコツなんだよ。
僕:えっ、それだけで印象って変わるの?
しおり:うん、たとえば「プレゼンが得意なんです」って言うだけだとちょっと自慢っぽいけど、「運良くいい上司に出会えて、たくさんチャンスをもらったんです」って添えると、謙虚さや感謝の気持ちが伝わるでしょ?
僕:あ〜たしかに!たった一言で印象がやわらかくなるね。
しおり:それに、「自分だけでここまで来たんじゃない」って言える人の方が、人間的な魅力も伝わるんだよ。
僕:うん、応援したくなるのは、そういう人かも。
しおり:だからこそ、“強みを語るときこそ、感謝を添える”。これ、覚えておいてね😊
ファクト(事実)を盛り込む
僕:ところでさ、自己開示もストーリーも大事ってわかったけど…ちょっと感情に寄りすぎて、信頼されなかったらどうしようって思うときもあるんだよね。
しおり:うんうん、実はそこもすごく大事な視点。感情に訴えるだけじゃなくて、“事実=ファクト”を入れることで、説得力がグッと上がるんだよ。
僕:ファクトって、たとえば数字とか?
しおり:そうそう!「売上が好調です」よりも「前年比120%の伸びです」って言ったほうが、相手は具体的にイメージしやすいでしょ?
僕:たしかに!数字があるだけで「ちゃんとしてる感」が出るね。
しおり:そうなの。ファクトは**“信頼”と“納得”の土台**になるんだよ。
僕:ストーリーが“心”に届くなら、ファクトは“頭”を納得させるって感じ?
しおり:まさにそれ!そして両方を組み合わせると、感情と理性のバランスがとれた伝え方になるの。
僕:なるほどなぁ…。これ、営業トークでもすごく使えそうだね。
しおり:うん。感動だけでもダメ、数字だけでも退屈。だからこそ、ストーリー+ファクトの掛け合わせが最強なんだよ📊✨
声とジェスチャーは“3倍”でちょうどいい
僕:ここまでの話で、伝え方の中身はかなり変えられそうな気がしてきたよ。
でもさ…実際に話すとき、なんか声もちっちゃいし、動きも地味になっちゃうんだよね…。
しおり:わかる。それ、実は多くの人が感じてることなんだよ。
だからね、著者の千葉さんはこう言ってるの。
「声やジェスチャーは、自分が思っている“3倍”やってちょうどいい」って。
僕:3倍!?それ…めっちゃオーバーじゃない?
しおり:そう感じるよね。でも、自分が“ちょっと大げさかな”って思うくらいが、相手にはやっと普通に伝わるレベルなんだって。
僕:言われてみれば…録音した自分の声って、すごく小さく聞こえるんだよな。
しおり:そうそう!それにオンライン会議とかだと、表情や身振りが届きにくいから、意識して声に抑揚をつけたり、ジェスチャーを大きくするのはすごく効果的なんだよ。
僕:なるほど…内容だけじゃなくて、“どう伝えるか”の動きや音にも気を配るってことか。
しおり:うん。話の内容が良くても、声が小さくて自信なさそうだと、説得力も伝わらないからね。
ちょっとオーバーくらいが、実はちょうどいいんだよ😊
まとめ表|伝わらない話し方 vs 印象に残る話し方
🧩 問題 | 🔍 原因 | 💡 対策(戦略) |
---|---|---|
話がまとまらず伝わらない | 話す目的があいまい | 目的を明確にしてから話す。ゴールを意識する |
相手に響かない・通じない | 相手の知識や立場を考慮していない | 相手を観察・分析して、伝え方をカスタマイズ |
結局何が言いたいのかわからない | 話題が多くて焦点がブレている | 一番伝えたいメッセージを“1つ”に絞って話す |
内容が記憶に残らない | 印象的な言い回しができていない | 一言でまとめるクセをつける。冒頭で“要点”を伝える |
話が退屈に聞こえる | 感情や共感が含まれていない | ストーリーや体験談を入れて感情に訴える |
距離感が縮まらない | 自分のことを何も語っていない | 弱みや成長体験を素直に話して自己開示する |
成功体験が鼻につく | 強みだけを一方的に語っている | 運や周囲の応援に触れて、感謝とともに語る |
信頼されにくい | 話に客観性・裏付けがない | ファクト(数字・事例・エビデンス)を盛り込んで説得力を高める |
存在感が薄い | 声が小さい/動きが小さい | 声・ジェスチャーは「自分の3倍」を意識して表現する |
最後に|伝え方は“ちょっとした意識”で変えられる
僕:いや〜…今日の話、めっちゃ参考になったよ。思ってた以上に「伝える」って奥が深いんだな…。
しおり:うん。でもね、難しいテクニックを全部覚えようとしなくていいの。
僕:え、そうなの?
しおり:うん。伝える力って、「誰に、何を、どう伝えたいか」をちょっとだけ意識することから始まるんだよ。
僕:なるほど…。その“ちょっとの準備”が、話し方を変えるカギなんだね。
しおり:そう。それだけで、印象ってちゃんと変わるの。伝え方に悩んでいた人も、今日から少しずつ変われるはずだよ🌱
僕:よし、まずは会議の前に「一言で言うと何か」を考えることから始めてみるよ。
しおり:うん、応援してるね。またいつでも相談においで📘
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