はじめに|1年後に人生が終わるとしたら、僕らは何を選ぶだろう?
僕:
ねぇ、しおり……。
もし、あと1年で人生が終わるって言われたら、どうする?
しおり:
急にどうしたの?珍しく哲学的だね。
僕:
うん。実は、祖母の容体が急に悪くなってさ。
なんか、“人生の終わり”を考えるようになって……。
今日が当たり前じゃないのかもって、怖くなった。
しおり:
……それはつらかったね。
でもね、そうやって「死」を意識したときにこそ、「どう生きたいか」が本当に見えてくるんだよ。
僕:
どう生きたいか……。うーん、正直、普段あんまり考えてなかったかも。
目の前の仕事とか、毎日のことでいっぱいいっぱいで。
しおり:
そうだよね。私たちはみんな、「いつかやろう」って思って先延ばしにしがち。
でも、もし1年後に人生が終わるとしたら……その「いつか」は、もう来ないかもしれない。
僕:
……たしかに。
じゃあ、僕はあと1年で、何をしたいんだろう?
仕事?家族?夢?誰かと笑い合う時間?
しおり:
うん、その問いがすごく大事。
今回はね、ホスピス医の小澤竹俊さんが書いた『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』を一緒に読みながら、
**「後悔しない生き方」**について、ゆっくり考えてみよう。
僕:
うん……怖いけど、ちゃんと向き合ってみたい。
1. やりたいこと、今やってる?
僕:
……そういえば僕、やりたいことってあったっけ。
仕事ばっかりで、ここ数年、心からワクワクすることってしてなかったかも。
しおり:
うん。多くの人がね、病気になったり、“終わり”が見えたときにやっと気づくの。
「もっとあれをしておけばよかった」って。
僕:
でも実際、時間もお金も余裕ないし、
「いつかできたらいいなぁ」で止まっちゃうんだよね。
しおり:
でもね、「いつか」は、何も準備しないと、ずっと来ないの。
もし本当に1年しかなかったら、「来年でいいや」はもう通用しないよ。
僕:
たしかに…。
今行きたい場所とか、話したい人とか、意外とあるかも。
しおり:
それ、すごく大事。
やりたいことって、人生の“燃料”みたいなものなんだよ。
小さなことでもいい。「本を一冊読んでみたい」「美味しいものを食べに行きたい」——そんな気持ちが、生きるエネルギーになるから。
僕:
うん……。
じゃあ僕、週末に祖母の好きだったお菓子買って、病院に持って行こうかな。
ずっと行こう行こうと思って、まだ行けてなかったんだ。
しおり:
うん、すごく素敵だと思う。
「思い出すこと」も、「行動すること」も、どちらも立派な“生き方の選択”だよ。
2. 仕事は「誰かを喜ばせるもの」になってる?
僕:
……正直、いまの仕事って、誰かを喜ばせてるのか自信ないんだよね。
納期に追われて、怒られないように動いてるだけで精一杯でさ。
しおり:
うん、気持ちわかるな。
でもね、小澤先生は言ってたよ。**「人は誰かのためになっていると実感できたときに、心が満たされる」**って。
僕:
えっ、じゃあ、自分のためだけに働いてたら、満たされないってこと?
しおり:
うん、自分ひとりのためだけの成果は、どこか限界があるんだって。
それより、誰かに「ありがとう」って言ってもらえたり、自分の行動が誰かの笑顔につながるほうが、ずっと心があったかくなる。
僕:
そう言われて思い出したんだけど、前の会社で後輩に「助かりました!」って言われたとき、めちゃくちゃ嬉しかったな……。
しおり:
それそれ!
「人の役に立てた」って実感は、じわっと長く残るんだよ。
反対に、それが感じられない仕事は、つらさだけが積もっていきやすいの。
僕:
うん……。
いまの職場、悪くはないけど、「誰かのためになってる」って感覚はあんまりないかも。
しおり:
もし、あと1年で人生が終わるとしたら。
「この仕事で誰かを喜ばせられてるか」って、きっと真っ先に考えると思うよ。
僕:
……たしかに。
もっと「人の役に立ってる」って実感できる働き方、考えてみたいな。
3. 比べてばかりの毎日、そろそろやめない?
僕:
SNSとか見てるとさ、みんなすごく楽しそうで、キラキラしてて……。
「自分だけが取り残されてる」気がしちゃうんだよね。
しおり:
うん、わかるよ。
でもね、人って「誰かと比べることで不安になる生き物」なんだって。
それ、自然なことなんだけど、しんどいよね。
僕:
なんでこんなに気にしちゃうんだろう。
あの人より劣ってるとか、置いてかれてるとか……。
しおり:
小澤先生が言ってたの。
**「死を前にしたとき、人と比べることはどうでもよくなる」**って。
僕:
どうでもよくなる、か……。
たしかに、病室で天井見上げながら「隣の人より収入少なかった」なんて思わないよな。
しおり:
そうなの。
人は弱ったときほど、比べるより“普通の毎日が恋しくなる”んだって。
歩ける、食べられる、話せる——そんな当たり前が、どれだけ尊いかに気づくの。
僕:
……じゃあ、今こうして歩けて、ごはん食べられてること、もっと大切にしないとだな。
しおり:
うん。
誰かと比べて落ち込むより、「昨日の自分と比べて、少しでも前に進めたか」を見てあげてほしいな。
僕:
よし……今日は、昨日よりも1歩、自分を褒めてやろうかな。
スマホ見ながら凹むの、もうちょっと減らすか。
しおり:
それで十分◎ その気づきがあるだけで、心は少し自由になれるから。
4. 自分らしく生きるって、どういうこと?
僕:
「自分らしく生きたい」ってよく聞くけど、実際、自分らしさって何なんだろう。
……正直、わかんないや。
しおり:
うん、それってね、意外と多くの人が迷ってることなんだよ。
毎日の小さな選択——何を食べるか、誰と過ごすか、何を大切にするか。
それが少しずつ「自分らしさ」を形づくってるの。
僕:
でもさ、気づいたら周りに合わせてばっかりで…。
本当はどうしたいのか、見失うときあるな。
しおり:
うん、つい「いい人でいなきゃ」とか「空気読まなきゃ」って思っちゃうよね。
でもね、**人生の終わりが近づいたときに多い後悔のひとつが、
“人の目ばかり気にして、自分の気持ちを大事にしなかったこと”**なんだって。
僕:
うわ、それ、グサッとくるな……。
僕も、本当は断りたかったのに無理して付き合ったりすることあるし。
しおり:
だからこそ、「一人で選ぶ練習」って大事なんだよ。
誰の顔色も気にせず、自分の気持ちに耳をすませる時間。
僕:
なるほど……。
一人で散歩とか、喫茶店でのんびりするとか、ちょっとずつ始めてみようかな。
しおり:
それ、すごくいいと思う!
「自分がどうしたいのか」に気づくことが、自分らしさの第一歩だからね。
僕:
……よし、今日は帰りに、前から気になってたあの定食屋行ってみようかな。
なんとなく遠慮してたけど、誰に気を使ってたんだろ。
しおり:
うんうん、そういうのが大切なの。
“自分に優しい選択”って、ちゃんと心を育ててくれるからね。
5. 「もう遅い」って、誰が決めたの?
僕:
「やってみたいな」って思っても、つい考えちゃうんだよね。
“今さら始めても遅いんじゃないか”って。
しおり:
うん、それ、すごくよく聞く言葉だね。
でもね、何かを始めるのに「遅すぎる」なんて本当はないんだよ。
僕:
でも周りを見てると、若い子たちはどんどんチャレンジしてるし、
こっちは出遅れた感すごくてさ。
しおり:
でもね、年齢やタイミングを言い訳にしてたら、一生「今じゃない」ままで終わっちゃうよ。
小澤先生も言ってたよ、「何歳でも人は変われるし、成長できる」って。
僕:
たとえば、60歳からYouTube始めたり、留学する人もいるって話……あれ、本当に勇気出るよね。
しおり:
うん。
未来に希望が持てるからこそ、人は“今”を大切にできる。
「どうせ無理」じゃなくて、「ちょっとだけやってみる」でいいんだよ。
僕:
たしかに……。
僕も、また弓道の大会、出てみようかな。
「もう無理だろ」って思ってたけど、練習は続けてたし。
しおり:
わぁ、それ素敵!
遅いかどうかを決めるのは、他人じゃなくて“今の自分”だよ。
僕:
……うん。やってみる!
たとえ結果が出なくても、「挑戦した自分」が残るもんね。
しおり:
その通り◎
人は何歳でも“新しい物語”を始められるって、私は信じてるよ。
6. 努力が報われなくても、意味はある?
僕:
「頑張ったのに結果が出なかった」ってとき、
なんか全部ムダだった気がしちゃうんだよね。
しおり:
うん、その気持ち、すごくよくわかるよ。
でもね、努力って、結果が出なくても“自分の中にはちゃんと残ってる”んだよ。
僕:
でも報われない努力って、なんか悲しくない?
「やるだけ損」って思っちゃうときもあるし…。
しおり:
それって、「結果だけが価値」って思い込んでるからかもしれないね。
でも実際は、努力した過程で得たもの——考え方とかスキルとか、自信とか——そういう“見えにくい財産”が残ってるの。
僕:
うーん……たしかに、弓道でも思うな。
試合で勝てなかったとしても、フォームを見直したり、集中力が上がったりするのって、あとで効いてくる。
しおり:
そうそう!
それに、夢中になって何かに取り組む時間そのものが、人生の中ではすごく価値ある“経験”になる。
僕:
なんか……結果ばっかり見て、自分を責めてた気がするな。
「楽しめたかどうか」って視点、忘れてたかも。
しおり:
うん。小澤先生もね、「結果は全部回収される。大事なのは“過ごし方”」って言ってたよ。
人生の最後に残るのは、“勝った負けた”よりも、「どう生きたか」なんだよ。
僕:
……なるほど。
報われなくても、頑張った自分がそこにいたってだけで、意味はあるんだね。
しおり:
うん。
報われなかった努力なんて、ひとつもないと思うよ。
6. 努力が報われなくても、意味はある?
僕:
「頑張ったのに結果が出なかった」ってとき、
なんか全部ムダだった気がしちゃうんだよね。
しおり:
うん、その気持ち、すごくよくわかるよ。
でもね、努力って、結果が出なくても“自分の中にはちゃんと残ってる”んだよ。
僕:
でも報われない努力って、なんか悲しくない?
「やるだけ損」って思っちゃうときもあるし…。
しおり:
それって、「結果だけが価値」って思い込んでるからかもしれないね。
でも実際は、努力した過程で得たもの——考え方とかスキルとか、自信とか——そういう“見えにくい財産”が残ってるの。
僕:
うーん……たしかに、弓道でも思うな。
試合で勝てなかったとしても、フォームを見直したり、集中力が上がったりするのって、あとで効いてくる。
しおり:
そうそう!
それに、夢中になって何かに取り組む時間そのものが、人生の中ではすごく価値ある“経験”になる。
僕:
なんか……結果ばっかり見て、自分を責めてた気がするな。
「楽しめたかどうか」って視点、忘れてたかも。
しおり:
うん。小澤先生もね、「結果は全部回収される。大事なのは“過ごし方”」って言ってたよ。
人生の最後に残るのは、“勝った負けた”よりも、「どう生きたか」なんだよ。
僕:
……なるほど。
報われなくても、頑張った自分がそこにいたってだけで、意味はあるんだね。
しおり:
うん。
報われなかった努力なんて、ひとつもないと思うよ。
7. 最後に残るのは、誰との時間?
僕:
もし人生があと1年って言われたら、
たぶん……仕事のことより、家族のことを考えるかも。
しおり:
うん、それってすごく自然なことだよ。
実際にね、ホスピスの現場でも多くの人が言うの。
「もっと家族との時間を大事にすればよかった」って。
僕:
でも現実はさ、平日は仕事でクタクタで、
実家にもなかなか顔出せてないし……。
しおり:
わかるよ。忙しい毎日を頑張ってるんだもんね。
でもね、「あと何回会えるんだろう」って考えると、思ったより少なかったりするんだ。
僕:
……たしかに。
母親と話すの、年に数回だし。
あと何年元気でいてくれるかわからないのに、どこかで当たり前って思ってた。
しおり:
“永遠”って、意外とあっさり終わっちゃうからね。
最後までそばにいるのは、同僚でも友達でもなく、家族なことが多いんだって。
僕:
そっか……。
結局、家族が一番近くて、一番見落としがちなのかも。
しおり:
だからこそ、ほんの少しだけでも、時間を“家族のために使う”って選択をしてほしいな。
会いに行く、電話をする、手紙を書く——どれも、あたたかい贈り物だよ。
僕:
……よし、今週末、祖母の顔見に行ってくるよ。
元気なうちに、ちゃんと話しておきたいこともあるし。
しおり:
うん、それがきっと、未来の自分を救ってくれるはずだよ。
8. それでも、生きてるだけで価値がある
僕:
正直さ……何もできない自分って、意味あるのかなって思うときあるんだよね。
誰かの足を引っ張ってるだけなんじゃないかって。
しおり:
うん、その気持ちもすごくわかるよ。
でもね、小澤先生は言ってたの。
「人は生きているだけで、誰かの支えになってる」って。
僕:
……生きてるだけで?
しおり:
うん。
たとえば、あなたがいてくれるから安心できる家族がいるかもしれないし、
笑顔ひとつで救われてる誰かがいるかもしれない。
僕:
でも、それって実感しにくいよね。
なんか“役に立たなきゃ価値がない”って思い込みが強くてさ。
しおり:
うん、現代って“成果主義”だからね。
でもね、息をして、ごはんを食べて、今日を生きること——それだけでも、立派な貢献なんだよ。
僕:
……そう言われると、少し肩の力が抜けるな。
しおり:
しかも、生きていれば、まだ誰かに優しくできる。
笑うことも、伝えることも、未来を選ぶこともできる。
それって、すごく“尊い可能性”だと思うの。
僕:
……ありがとう、しおり。
なんか、「生きてるだけでいい」って言葉、ちゃんと信じられそうな気がする。
しおり:
うん、あなたが今ここにいることが、すでに大きな意味なんだよ。
まとめ|後悔しない“今”を生きるヒント
問題・迷い | 気づき・本当の課題 | 小さな行動のヒント |
---|---|---|
やりたいことを後回しにしている | 「いつか」は来ない | 今すぐ、ひとつだけでも実行してみる |
仕事に意味を感じられない | 誰かを喜ばせる実感が足りない | 「誰の笑顔につながってるか?」を意識してみる |
他人と比べて落ち込んでしまう | 比較の視点ばかりで自分が見えなくなる | 昨日の自分と比べる/日常の「当たり前」を大切に |
自分らしさがわからない | 人に合わせすぎて、自分の気持ちを見失ってる | 一人の時間で「好き」を選び直してみる |
「もう遅い」と感じて挑戦を諦めている | 年齢は言い訳になりがち | “やってみたい”を今、小さく始めてみる |
結果が出ない努力に意味を見いだせない | 過程の中に学びと喜びがある | 結果より「どう過ごせたか」を振り返る |
家族との時間をおろそかにしている | つい後回しにしがちだけど、本当は一番大事 | 会いに行く、話す、手紙を書く |
自分の存在価値がわからない | 生きてるだけで誰かの支えになっている | 「いるだけで意味がある」と自分に語りかける |
ラストメッセージ|「今からでも、選び直せる」
僕:
「もしあと1年で人生が終わるとしたら——」なんて、
最初はちょっと重たくて、目をそらしたくなったけど……。
こうしてしおりと話してみて、気づいたよ。
僕、まだやれてないこと、たくさんあるんだ。
しおり:
うん、それに気づけたことが、すごく大切なんだよ。
“死”を考えるって、怖いことじゃないの。
むしろ、いまを大切にするヒントがたくさん詰まってる。
僕:
あれこれ後回しにして、比べて落ち込んで、
「どうせ今さら」って思ってた自分に、ちょっと反省…。
しおり:
でもね、人生は「今ここ」から選び直せる。
ほんの少しの勇気があれば、後悔のない方向に進めるはずだよ。
僕:
うん……まずは一歩、踏み出してみる。
小さくても、自分で選んだ“今日”をちゃんと歩いてみるよ。
しおり:
それがきっと、未来のあなたを救ってくれるよ。
大丈夫。あなたの人生は、これからもっと意味を持っていくから。
📘紹介した本はこちら
『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』
小澤竹俊 著|アスコム出版
死を見つめることを通して、“いま”をどう生きるかを教えてくれる一冊。
1日1日をもっと丁寧に、もっとやさしく生きたくなる——そんなヒントが詰まっています。
コメント