はじめに|『やわらかく、考える』とは?
頭を柔らかくする“コンディション作り”の重要性
僕: 「最近どうも頭が固い気がするんだよね。考えが堂々巡りになって、アイデアも出ないし…」
しおり: 「そういうときに読んでほしいのが、外山滋比古さんの『やわらかく、考える』だよ。
この本は、柔軟な思考や新しい発想力を身につけたい人にぴったりなんだ」
僕: 「発想力アップ系の本ってたくさんあるけど、これは何が違うの?」
しおり: 「この本のポイントは、**“頭を良くする”のではなく“頭が働きやすいコンディションを整える”**こと。
いきなり柔軟な考え方をしようとしても難しいけど、思考がほぐれやすい状態をつくることなら誰でもできるんだよ」
僕: 「コンディション作りか…スポーツ選手みたいだな」
しおり: 「そうそう。本書では、発想が生まれやすくなる習慣を8つ紹介しているの。
例えば“不要な情報を忘れる”“適度に忙しいほうがいい”“違う価値観の人と交流する”など、今日からすぐに試せるヒントがたくさんあるよ」
僕: 「読んだだけで終わらず、実践できそうな内容っていいな。頭の固さが取れたら仕事にもプライベートにも良さそう!」
しおり: 「じゃあ一緒に、8つの習慣を順番に見ていこう。アイデアが湧きやすい柔軟な思考を手に入れるヒントがきっと見つかるよ」
1. 忘れる力を身につける
情報の「ゴミ出し」で新しい発想が生まれる
僕: 「“忘れる”って悪いことじゃないの?最近記憶力が落ちてる気がして焦ってるんだけど…」
しおり: 「実はね、柔軟な思考を持つ人ほど“忘れる力”を大切にしているんだよ」
僕: 「え、どういうこと?」
しおり: 「情報をため込みすぎると、脳がいっぱいになって新しいアイデアが浮かびにくくなるの。
パソコンだって不要なデータを消すと軽くなるでしょ?」
僕: 「確かにスマホも容量パンパンだと動作が重くなるな…」
しおり: 「それと同じで、頭も“情報のゴミ出し”をすると発想力が回復するの。
不要な情報を忘れることで、空いたスペースに新しい考え方が入ってくるんだよ」
僕: 「でもどうやって忘れるの?無理じゃない?」
しおり: 「コツは簡単。一度メモに書き出すこと。頭の中に置きっぱなしにせずアウトプットするだけで、自然に忘れやすくなるよ」
僕: 「おお、それならすぐできそうだな。要らない情報まで抱え込んでたかも」
しおり: 「“覚えること”より“手放すこと”。これが柔軟な思考の第一歩だね」
2. 適度な忙しさがパフォーマンスを上げる
パーキンソンの法則を味方につける
僕: 「忙しいのって疲れるだけで、柔軟な思考どころじゃない気がするけど…」
しおり: 「ポイントは“適度な”忙しさ。時間に余裕がありすぎると逆に生産性が下がるんだよ」
僕: 「そうなの?」
しおり: 「“パーキンソンの法則”って知ってる?
人は、与えられた時間が長ければ長いほど、その時間を全部使ってしまう習性があるの」
僕: 「あ…夏休みの宿題を最終日にまとめてやるやつだ!」
しおり: 「まさにそれ(笑)。余裕がありすぎるとダラダラしてしまい、締め切りが迫ったほうが集中力が高まるんだよ」
僕: 「でもわざわざギリギリに追い込むのってちょっと怖いな」
しおり: 「そこは“締め切り効果”を上手に使えばいいの。自分で小さな締め切りを設定して、適度なプレッシャーをかけるんだ」
僕: 「例えば“今週中にこのタスクを終える”とか?」
しおり: 「そうそう。1日の作業時間も短めに区切るとさらに集中できるよ」
僕: 「なるほど、余裕がありすぎるのも良くないんだな」
しおり: 「適度な忙しさが頭をフル回転させ、柔軟な発想を引き出してくれるんだよ」
3. 行動を止めない
小さな一歩でも動き続けることが柔軟性を育む
僕: 「最近ちょっと停滞してる気がする…。やる気が出なくて行動できないんだよね」
しおり: 「そんなときこそ動きを止めないことが大事なんだよ」
僕: 「でも行動できないから困ってるんだけど…」
しおり: 「大きな一歩じゃなくていいの。小さな一歩でも前に進み続けることが、柔軟な思考を育てるんだよ」
僕: 「どうして動き続けると柔軟になれるの?」
しおり: 「川の水が流れているから腐らないのと同じ。
人間も行動を止めると停滞してしまい、考え方が固まるの」
僕: 「ああ…同じ場所にとどまると、どんどん視野が狭くなる感じか」
しおり: 「そうそう。
だから学ぶ・挑戦する・人に会う、なんでもいいから少しずつ動き続けることが大事なんだよ」
僕: 「例えば、新しい趣味を始めたり、行ったことのない場所に出かけるとか?」
しおり: 「そうそう!新しい刺激を受けることで発想の幅が広がるんだ」
僕: 「なるほど…小さな一歩でいいなら今すぐできそうだ」
しおり: 「“動き続ける習慣”が未来の可能性を広げてくれるんだよ」
4. リラックスできる環境で考える
落ち着ける場所がアイデアを生む
僕: 「会議や人前だと、全然アイデアが出ないんだよな…」
しおり: 「それは自然なこと。慣れない環境や緊張する場面では、頭が固くなりやすいんだよ」
僕: 「そういえば、あとでデスクに戻ったら“あれ言えばよかった!”って思い出すこと多いかも」
しおり: 「それそれ!
人間はリラックスできる場所にいるほうが、柔軟な思考が働きやすいの」
僕: 「じゃあ会議でアイデアを出すのは難しいってこと?」
しおり: 「そういう場では無理に完璧な答えを出そうとしなくていいよ。
自分が落ち着ける環境で考える時間をしっかりつくることが大切なんだ」
僕: 「例えば自宅のデスクとか、静かなカフェとか?」
しおり: 「そうそう。自分が心地よいと思える定番の場所を決めておくといいね。
アイデア出しや重要な決断は“落ち着ける環境”で──これを意識するだけでも発想力が変わるよ」
僕: 「なるほど、環境を整えるのも思考を柔らかくするポイントなんだな」
しおり: 「そうだよ。リラックスできる場所こそ、柔軟なアイデアが生まれる場所なんだ」
5. 旅をして新しい刺激を受け取る
固定観念を壊すには「外の世界」に出ること
僕: 「最近、毎日が同じことの繰り返しで、考え方もマンネリ化してる気がする…」
しおり: 「そんなときはね、旅に出るのが一番効果的だよ」
僕: 「え、旅行?でも旅行って思考に関係あるの?」
しおり: 「あるんだよ。同じ環境にとどまり続けると、発想が固定化されてしまうの。
知らない場所に行ったり、新しい人と出会ったりすると、自然と刺激を受けて思考が柔軟になるんだ」
僕: 「たしかに旅先って、普段見ない景色や人との出会いが多いかも」
しおり: 「そうそう。新しい発見や経験は、凝り固まった頭をほぐしてくれるんだよ」
僕: 「でも、そんなに大きな旅行はなかなか行けないな…」
しおり: 「大きな旅じゃなくていいよ。
近場でもいいから行ったことのない場所に足を運んでみること。それだけで脳が活性化されるんだ」
僕: 「なるほど、普段の休日にちょっと遠出するくらいでもいいのか」
しおり: 「そうだよ。新しい景色や人に出会う“旅の体験”こそ、発想力を広げる最高の方法なんだ」
6. 人生を長期的に見る
失敗を恐れず「マラソン思考」で進む
僕: 「この前のチャレンジ、うまくいかなかったんだ…。スタートで失敗すると、もう全部ダメな気がする」
しおり: 「そんなことないよ。人生は短距離走じゃなくてマラソンなんだ」
僕: 「マラソン…?」
しおり: 「そう。スタートでつまずいても、これからの行動次第でいくらでも巻き返せるの。
逆に、最初がうまくいったからといって油断していると、途中で失速してしまうんだよ」
僕: 「たしかに、目先の失敗ばかり気にしてたかも」
しおり: 「大切なのは**“今できることに集中すること”**。
状況を悲観するのではなく、今の環境でスキルを磨いたり人脈を広げたりすれば、将来的に新しいチャンスが来る」
僕: 「就職や転職で失敗したときも、そこで腐らず動き続けるのが大事なんだね」
しおり: 「そうそう。長期的な視点を持てば、目の前の失敗も次へのステップに変わるんだよ」
僕: 「マラソン思考か…。失敗しても立て直せるって思えると気がラクになるな」
しおり: 「そうだよ。焦らず一歩ずつ積み重ねる人が最後にゴールへたどり着けるんだ」
7. 仕事と遊びのバランスを整える
緩急をつけることで頭と心に余裕が生まれる
僕: 「最近、仕事が忙しすぎて休む時間がないんだよ…。でも遊んでばかりもいられないし、どうすればいいのかな」
しおり: 「その悩み、よくわかるよ。でもね、仕事と遊びのバランスを意識することが思考の柔軟性を保つ秘訣なんだ」
僕: 「え、仕事も遊びも両方って難しくない?」
しおり: 「どちらか一方に偏るのが良くないの。
働きすぎると心身が疲弊してアイデアも出なくなるし、逆に遊びすぎると生活のリズムが崩れて張り合いがなくなるんだ」
僕: 「たしかに…。忙しすぎると余裕がなくなるし、遊びすぎるとだらけちゃう」
しおり: 「だからこそ、“緩急をつける”ことが大切なの。
普段仕事を頑張っている人ほど、休む時間・遊ぶ時間を意識的につくるといいよ」
僕: 「休日を罪悪感なく楽しむのも大事ってこと?」
しおり: 「そうそう!
休むからこそエネルギーが回復して、仕事のパフォーマンスも上がるんだよ。
この本では“ゆっくり急ぐ”状態が理想的だと書かれているよ」
僕: 「なるほど、仕事も遊びもどっちも全力で。そうすれば頭も心もいい状態になるんだな」
しおり: 「その通り。メリハリのある毎日が柔軟な発想力を生み出すんだ」
8. 違う考え方を持つ人と交流する
自分と違う価値観が思考を広げる
僕: 「最近、同じ仲間とばかり一緒にいる気がするな…。楽しいけど、新しい刺激は少ないかも」
しおり: 「それって実は思考がマンネリ化するサインなんだよ。
自分と似た価値観の人だけと付き合っていると、発想が広がりにくいんだ」
僕: 「え、でも気の合う人といるのが一番楽じゃない?」
しおり: 「もちろん楽しいけど、成長や柔軟な思考のためには“違う考え方を持つ人”との交流が大事なんだよ」
僕: 「そうは言っても、どうやってそういう人に出会えばいいの?」
しおり: 「例えば異業種交流会に参加してみるとか、SNSで普段の自分の世界とは違う分野の人をフォローしてみるのもいいよ。
職場や地域のボランティアに参加するのもおすすめ」
僕: 「なるほど。自分の殻を破るには、環境をちょっと変えるのがポイントなんだね」
しおり: 「そうそう。異なる価値観や経験を持つ人と関わることで、新しい考え方が自然と入ってくるんだよ」
僕: 「じゃあ、今度は自分の分野とは全然違う人に会ってみようかな」
しおり: 「いいね!
“似た者同士の居心地の良さ”から一歩出ることが、思考の柔軟性を育てる近道だよ」
柔らかい頭をつくる8つの習慣【まとめ表】
No. | 習慣 | ポイント | 効果 |
---|---|---|---|
1 | 忘れる力を身につける | 不要な情報を手放し、頭の容量を空ける | 新しいアイデアが浮かびやすくなる |
2 | 適度な忙しさを保つ | 自分で小さな締め切りを設定する(パーキンソンの法則) | 集中力とパフォーマンスが上がる |
3 | 行動を止めない | 小さな一歩でいいので動き続ける | 停滞を防ぎ、視野が広がる |
4 | リラックスできる環境で考える | 自宅やカフェなど落ち着ける場所を用意する | 柔軟な発想が生まれやすくなる |
5 | 旅をして新しい刺激を受け取る | 行ったことのない場所に出かける | 固定観念を壊し、発想力を広げる |
6 | 人生を長期的に見る | 失敗を恐れず“マラソン思考”で積み重ねる | 焦りが減り、挑戦しやすくなる |
7 | 仕事と遊びのバランスを整える | 緩急をつけてしっかり休む時間を作る | 心と頭の余裕が生まれ、パフォーマンス向上 |
8 | 違う考え方を持つ人と交流する | 異業種や価値観の違う人とつながる | 思考の幅が広がり、新しい視点が得られる |
最後に|柔らかい頭は、未来を広げるカギになる
僕: 「今日教わった8つの習慣、やってみると未来が少しずつ変わりそうだな」
しおり: 「そうだよ。頭を柔らかくすることは、チャンスやアイデアを見つけやすくなることなんだ。
忙しい毎日でも、まずは1つずつでいいから実践してみてね」
僕: 「うん、忘れることから始めてみるよ」
しおり: 「いいね!
柔軟な思考を持てる人は、人生のどんな変化にも対応できる人。
きっとあなたの未来ももっと広がっていくはずだよ」
書籍紹介
しおり:
「今回紹介した8つの習慣は、外山滋比古さんの著書
『やわらかく、考える』(ちくま文庫) に詳しく書かれているよ。
エッセイのように読みやすくて、気づいたら“考え方がほぐれている”感覚になれる本だから、気軽に手に取ってみてね!」
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